授業中に気持ち悪くなる!治すための3つのポイント

この記事の内容

授業中に気持ち悪くなる・・・その原因は?

 この記事をご覧の方は以下のようなお悩みを抱えていませんか?このようなお悩みが、最近カウンセラーの私のもとによく届けられます。

「学校に居るときに体調悪くなり吐いてしまうのでは無いかとパニックになる」

 私達が「気持ち悪くなったらやだな・・・」「吐き気が起きたらどうしよう・・・」と不安に思う場面はたくさんありますよね。電車やバスといった乗り物の中、エレベータの中、人とご飯を食べている時・・・。中でも若い方がよく悩まれるのが「授業中に気持ち悪くなったらどうしよう」です。

 学校生活で授業時間というのはほとんどの時間を占めていますから、なかなか避けて通ることができません。よくよく考えるとこの授業中って自由に席を立てないし、時間も長いので不安も大きくなりますよね。本記事ではこの授業中に気持ち悪くなってしまう原因と、それを治していく為の以下3つのポイントをお伝えします。

  • 保護者と学校の先生に伝えておく(できれば)
  • 気持ち悪さから意識をそらす練習する
  • 気持ち悪くなってOK!の姿勢を身に着ける

この記事を書いている人

かずおかず

会食恐怖症・嘔吐恐怖症克服支援カウンセラーⓇ

「会食恐怖症」「嘔吐恐怖症」に苦しみ、日々の食事すら不能のどん底状態から、薬を使わず認知行動療法で自己治療を実践し克服。克服方法と、認知度の低い嘔吐恐怖症を広めるためにカウンセリングを行う。相談実績はのべ400件以上。日本初となる嘔吐恐怖症一般書籍「吐くのがこわいがなくなる本」(ダイヤモンド社) 制作協力。その活動は全国ラジオでも紹介される。病院への取材も行う。
「嘔吐恐怖症克服情報サイト【嘔吐恐怖症克服カレッジ】」や「嘔吐恐怖症克服プログラム【OPENERS】」等の克服支援サービスも多数運営。

「授業中気持ち悪くなったらどうしよう」背景は嘔吐恐怖症

 上記の症状をもう少し詳しく見ていきましょう。おそらく以下のような不安があると思います。

  • 「授業中に気持ち悪くなったらいやだな・・・」↓
  • 「今日ちょっと胃が痛い感じがするな、ムカムカもするな」↓
  • 「トイレに行けなかったら不安だな」↓
  • 「やっぱり気持ち悪い、どうしよう・・・どんどん気持ち悪くなってる!」↓
  • そしてどんどん慌ててしまう

 このような症状は「嘔吐恐怖症」と呼ばれています。嘔吐に対する恐怖で日常生活に支障が出る不安障害の一つとされています。

 嘔吐に対する恐怖が気持ち悪さを強め、日常の中で慢性的な気持ち悪さが起こります。今回は授業中に起きる「吐いたらどうしよう」「気持ち悪くなったらどうしよう」という症状を扱っていますが、その他の場面でも同じ症状が起きて電⾞に乗り⾟くなったり、普段の食事がとり⾟くなったり、様々に支障をきたすことがあります。

若年層に多い嘔吐恐怖症

 そしてこの嘔吐恐怖症ですが特に学生をはじめとする若い方が悩まれています。嘔吐恐怖症の原因はいろいろありますが、共通しているのは嘔吐や気持ち悪くなることにまつわる辛い過去の経験です。これらの経験が気持ち悪くなることへの恐怖感を一層高めて、余計に気持ち悪くなるのです。

 私自身もこの嘔吐恐怖症でした。小学生の時に、一度の体調不良から給食を嘔吐してしまいました。この「みんなの前で嘔吐してしまったこと」が大きなショックとなり、しばらく会食恐怖症にも悩まされました。そして大学生の時にこの「気持ち悪くなったらどうしよう」「吐いたらどうしよう」という不安が大きくなってしまい、嘔吐恐怖症となりました。なかなか会食に行けなかったり、電車に乗り辛いこともありました。

 そして何より大学の講義中に気持ち悪くなるのがとても不安でした。一度気持ち悪さが気になりだすと、そればかり考えてしまってなかなか授業に集中するのが難しかったです。いつまでこんな症状が続くのかと考えると、授業どころではありませんでした。だからこそ、こうした若い方からのお悩みはとてもよくわかります。

 若い方にとって嘔吐恐怖症はあまりなじみが無い為、このような症状に悩まされても自分がどうなってしまったのかも分からず、誰にも相談できないケースが多いのです。そこで孤立感を深めてしまい、より症状が悪化するという悪循環を当時の自分も繰り返していました。

 実際、会食恐怖症・嘔吐恐怖症カウンセラーの私のもとには年間でのべ300~400人の方が相談に訪れ、そのうちの半分以上に嘔吐恐怖症の傾向がありました。まずは同じ悩みを抱えている方がたくさんいることを知って下さいね!あなただけの特別な悩みではありません。

 嘔吐恐怖症について、もっと知りたい方は以下もご覧ください。

嘔吐恐怖症で病院には行くべき?

 自分が病気と自覚すれば病院に行くのが普通でしょう。もちろん嘔吐恐怖症を治療対象としている病院もあります。嘔吐恐怖症はその症状の出方が多様なので、自分が嘔吐恐怖症かどうかを明確にするのは判断するのは難しいこともあります。ですが以下のような自覚がある方は、嘔吐恐怖症の傾向が少なからずある言えるでしょう。

  • 授業中、電車などの閉鎖的空間で「吐いたらどうしよう」「気持ち悪くなったらどうしよう」と不安になる。
  • 上記の不安が強くなり、どんどん気持ち悪さが増すことがある。
  • 気持ち悪くなることへの不安感が強く、目の前のことに集中できていない。常に不安がある。
  • ここ半年ほど、改善している実感が全く無い。むしろ悪化している。

 病院に行けば嘔吐恐怖症と後述する認知行動療法と呼ばれる治療の説明を受けることができます。上記のような不安がある方はまずは簡単にでも話を聞いてくるのも良いでしょう。ですが嘔吐恐怖症で病院を受診する時に最も大切なポイントがあります。それは

「事前に嘔吐恐怖症を治療対象にしている病院かを確認する」

 嘔吐恐怖症に関しては、まだ扱っている病院が少ないのが現状です。お医者さんと言えども自分の専門外の症状に関してあまり詳しいわけではありません。嘔吐恐怖症のことを知らないお医者さんに症状を伝えても、「適応障害」とか「自律神経失調症」とか適当な診断になってしまった、という話は良く聞きます。事前に「嘔吐恐怖症について相談できますか?」と確認しておくのことが大切です。

嘔吐恐怖症で病院に行った時の診断

 嘔吐恐怖症で病院を受診した時の流れも簡単に説明しておきます。

 まず嘔吐恐怖症で病院を受診すると、カウンセリングが行われます。どういう不安があって、どんな症状があって、どんな風に生活に支障が出ているのか?を詳しく聞かれます。病院によっては先生では無く、カウンセラーが対応する事もあります。

 そして「認知行動療法」についての説明を受けます。これは嘔吐恐怖症の治療法の一つですが、難しいものではありません。例えば「食後の授業を受けるのが怖い」だとか「食後に電車に乗るのが怖い」だとか、パニックになってしまいそうな自分が苦手とする場面に敢えて挑戦することで慣らしていくという方法です。授業中に気持ち悪くなるのが怖い方は、もう授業に出て慣れていくことが認知行動療法になるわけです。

 お腹がいっぱいで授業に出る人の場合なら、「少しだけ食べた状態で練習する」「腹4分目くらい食べた状態で練習する」「腹半分以上食べた状態で練習する」といったスモールステップで慣らしていく方法を教えられると思います。(ここに提示したのはあくまでも一例で、提示される治療は病院によっても異なります)

 嘔吐恐怖症の治療にはこの認知行動療法に取り組むのが必須になります。自分が苦手な場面にできるだけ挑戦していくというのは大変ですが、長期的に見れば確実に根本的な治癒が見込める方法でもあります。

認知行動療法メインで薬はあまり出ない

 もうひとつの治療法としてはやはり「薬」がありますよね。ですが病院に行った若い方の話を聞いていても、若い方に薬が出されるケースはあまりないようです。たまに日常の不安感を抑える薬が出る程度ですね。

 というのも若い方は自分から積極的に認知行動療法に踏み出して克服していく方が多いからです。認知行動療法という言葉を知らなくても「パニックになりそうな場面に慣れていくしかないよな~」ということを分かっていらっしゃるので、自ら色々練習します。なので最初から積極的に薬を出さなくても、時間が経てばある程度の改善は見込めるからです。(それでもこれからお伝えするポイントを知っているのと知らないのでは、改善のスピードは全然違います。)

 また薬を使えば一時的に気持ち悪くなることへの不安を抑えることは出来ますが、それでは根本的な治療にはなりません。薬は不安が大きすぎて、既に日常に様々な支障をきたしている方には有効です。ですが「授業中だけ」といった限られた場面でのみ症状がある軽度の方には、薬は特に必要ではないでしょう。

授業中に気持ち悪くなるのを克服する3つのポイント

 それではここから具体的に、授業中に気持ち悪くなるのを克服する3つのポイントを説明していきます。こちらのポイントを押さえることで、病院に行かなくても自分で正しい認知行動療法を行って改善を実感することが出来ます。

学校と保護者に相談してみよう

 大学生ならともかく、高校生、中学生となるとまだまだ保護者や学校の先生の管理下にあると思います。なかなか授業中に「気持ち悪くなったから、勝手にトイレに立つ」というのも難しいと思います。

 こうした問題はご自身だけで抱え込んでしまうと、不安を大きくする要因になります。ご自身の症状について知っている方が誰もいないと、余計に「気持ち悪くなってはいけない」という不安が大きくなり、より強く症状が出ることにもなります。もし可能であればご両親に相談して先生に話してもらい、授業中にいつでもトイレに行けるように配慮してもらうのが良いでしょう。

 ご両親にいきなり嘔吐恐怖症のことを話しても、なかなか理解されにくいでしょう。本サイト「嘔吐恐怖症克服カレッジ」のページや、嘔吐恐怖症について説明している病院のページなどを活用して説明すると、スムーズに理解してもらえると思います。お悩みは出来るだけオープンにして、保護者、学校の先生、病院の先生など全員で解決していくのがベストですからね。

 ですが絶対に話さなければいけない訳ではありません。ご自身の中でまだ話す準備が出来ていなかったり、こんなことを話して周りにどう思われるか不安という方は無理に話す必要はありません。(実際私も嘔吐恐怖症を親に相談できなかったですし・・・そもそも嘔吐恐怖症という病気があることも知らなかったですが)ご自身が「一人で悩むのが辛くなってきた」というタイミングで話すのがベストです。

 また無料で嘔吐恐怖症の相談を受け付けているカウンセラーもいますので、こちらに相談してみるのも良いでしょう。

気持ち悪さを緩和する方法を身につけよう

 次に実践的な認知行動療法をやり方を説明します。ただ授業に出るだけでも認知行動療法になっているのですが、これからお伝えするポイントでその効果を大きく高めることが出来ます。まずはどうして授業中に気持ち悪くなってしまうのかを知りましょう。それは・・・

 気持ち悪くなったらどうしよう!という不安に注意が向き続けるからです。

 不安に注意が向き続けている、というのはどんどん不安の連鎖が起きているということです。最初は小さな不安でもその不安を確かなものと信じこんでしまえば、さらなる不安を生んでしまうのは人間の性質です。ページの最初でも少し触れましたが、例えば次の項目のような感じで不安が不安を連鎖的に生みます。これは皆さんも経験あるかと思います。

  • 「授業中に気持ち悪くなったらいやだな・・・」↓
  • 「今日ちょっと胃が痛い感じがするな、ムカムカもするな」↓
  • 「トイレに行けなかったら不安だな」↓
  • 「やっぱり気持ち悪い、どうしよう・・・どんどん気持ち悪くなってる!」↓
  • 「吐いたらどうしよう!みんなに見られちゃう」↓
  • そして慌ててしまいパニックになる

 不安が連鎖し続けて不安を確かなものと信じ込むと恐怖に変わり、パニックになり嘔吐恐怖症の症状が出てしまう訳です。つまり「不安に向いている注意を他の物に向けて、連鎖を止めること」が不安を⼤きくしないということなのです。簡単に言えば「気持ち悪くなったらどうしよう・・・」と考えすぎてしまうのを、どこかで止める必要があるということですね。 そしてこれを練習していくのが効果的な認知行動療法なのです。

 ただ単純に気持ち悪くなる不安をこらえて、授業に出るだけだと認知行動療法としての効果は半減してしまいます。是非これからお伝えする「気持ち悪さを緩和する方法」をたくさん練習しましょう!

 気持ち悪さが強くなる仕組みは先に述べた通りで、「気持ち悪くなったらどうしよう・・・」と考えすぎることにあります。逆に他のことに意識を向けて、なるべく気持ち悪さについて考えないようにすれば自然と治まっていきます。

 他のことに意識を向ける方法はいくつもあります。例えば「授業中の音に全集中してみる」というのがあります。ページをめくる音、チョークの音、足音、風の音など全ての音を聞き漏らすまいという姿勢で全力で聞きます。そしてどの音が何回聞こえたかをカウントするのも良いです。「黒板とチョークが何回当たった!」みたいな感じです。

 これをしている間は脳が気持ち悪さについて考える余裕がありませんので、強制的に気持ち悪さを忘れることが出来るのです。もちろん完全に忘れなくても十分効果があります。10秒でも1分でも気持ち悪さから意識を話すことが出来ればそれでも効果があります。とにかく他のことに意識を向けて脳を忙しくさせるのです。

 他のやり方としては「先生が話した言葉を全て心の中で復唱する」 という方法もあります。絶えず頭の中を言葉でいっぱいにするのは、昔から不安から抜け出す手法として使われてきました。これも意識をそらす良い方法でしょう。続けている内に自然と気持ち悪さが治まり、授業に意識が戻っていくかと思います。

 他にも意識をそらす方法はたくさんあります。「目に入った物も名前を全部言ってみる」とか「呼吸した数を数える」とかとにかく単純作業を忙しくやって脳が気持ち悪さについて考える暇を与えないようにするのです。最初は抵抗があると思いますが、慣れると自然に気持ち悪さが治まっていくと思います。

気持ち悪くなってOKの姿勢を身につけよう

 上記の方法を練習し始めると、「気持ち悪くなったらどうしようと考えてはいけない」という思い込んでしまう場合があります。ですがそういう訳では無いですし、そうやって完全に不安を抑圧するのは不可能です。他のことに意識を向けようとしても、すぐに気持ち悪さに意識が引き戻されることもあります。ですがその度にまた「あ、今気持ち悪さについて考えているな」と認識してからもう一度他に意識を向ける練習をしましょう。

 ついつい「気持ち悪くなったらどうしようと考えてはいけない」と自分の気持ちを抑圧したくなりますよね。ですが人間には「考えたくないことほど、考えてしまう」という性質があります。こういう気持ちは抑圧するほどに、大きくなりますので無理に止めようとしない方が、かえって治まります。不安を大きくしない一番の方法はそれ自体を無理に抑圧せず、受け流していくことです。

 上記の方法を練習していくと、不安が湧いてきても「あ、今不安が湧いてきたな、でもこれは自分の力では抑えられないからしょうがないな~、不安はそのままにしておくのが一番だから今やっていることに集中しよう」という意識で抑圧せずに、すぐに受け流すが出来ます。すると意識は自然と他に向いていき、やがて不安も去っていく・・・症状も大きくならない・・・といった感じに成長していきます。

 ここは認知行動療法ですごく大事なポイントです。こういう不安が湧いてきて、少し気持ち悪くなってしまうのは普通のことです。そこは問題ではありません。完全に気持ち悪さを抑え込めることよりも、「今は気持ち悪くなってもOK!そこから落ち着く練習をしていけばいい」という姿勢の方が大切です。逆に気持ち悪くなるからこそ、自分で気持ち悪さを抑える練習が出来て自信になっていくのですね。

 最初は「気持ち悪くなった、ならなかった」という分かりやすい結果の部分ではなく、「不安になった時に、不安を受け流す練習ができたか」「気持ち悪くなりそうになってから、どれくらいの時間で落ち着けたか」という視点を大事にしましょう。練習の度に落ち着くまでの時間は短くなっていきます。すると自分の成長も実感できて自信になっていきます。

おわりに

 本記事の内容をまとめます。

  • 授業中に気持ち悪くなる!原因は嘔吐恐怖症かも。
  • 嘔吐恐怖症は認知行動療法で改善できる。
  • 授業中に気持ち悪さを緩和する方法を練習してみよう。

 授業中に気持ち悪くなることは不安ですよね。でも練習をしていくことで必ず良くなっていきます!もし嘔吐恐怖症に当てはまるかも・・・と感じたら本サイトで嘔吐恐怖症でもっと学んでいって下さいね!それでも最後までお読みいただきありがとうございました。

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