注意訓練法

 OPENERS第5回目です!前回の講義では、慢性的な不安と自己批判がより症状を悪化させることをお伝えしました。そして症状の悪化がさらなる不安と自己批判を招くので、自分にかける言葉を変えて自分を励まし、この連鎖を断ち切らなければいけないのでした!

 もちろん「不安なことを考えるのをやめよう!」「自己批判をやめよう!」と考え直せば、それで済む話なのですが・・・人間にそんなことは不可能であるという話をこれまでもしてきましたね。OPENERSでは皆様がお持ちのネガティブ感情を捨てることは求めません(できません)。まずはその感情を受け入れるところからすべてが始まるのです。

 今回は「注意訓練法」を紹介します。以前に潜在意識と顕在意識についてのお話をしたときにしましたが、潜在意識を変えていくには2つの方法がありました。

  • 敢えて苦手な場面に挑戦すること
  • 普段自分にかけている言葉を変えること

 前者は認知行動療法や暴露療法でアプローチできることは以前お話ししました。そして後者の必要性についても詳しく説明しました。注意訓練法はこの後者にアプローチする方法で、もう一つの克服の柱になります。この注意訓練法に関してはご存じの方はあまりいらっしゃらないかもしれません。

日常で取り組む注意訓練法

 認知行動療法が実際に自分が苦手な場面の取り組みなら。この注意訓練法は日常の取り組みと言う事が出来ます。自分が苦手な場面にガンガン挑戦して、慣れていく以外にできることは無い・・・と思っている方もいると思います。挑戦してうまくいったら喜んで、うまくいかなかったら落ち込んで・・・日常では慢性的な不安と自己批判の繰り返しでは、せっかくの認知行動療法も効果がありません。むしろ日常の中で慢性的な不安と自己批判を断ち切る取り組みこそが重要なのです。

 それではなぜ私達が慢性的な不安と自己批判を繰り返してしまうのか?注意訓練法はなぜそれに効果的なのか?を説明していきますね!どうしていけないと分かっていても、不安につかまり続けたり、自己批判をしてしまうのでしょうか?これは告知ページでも触れましたが、実は・・・

 集中力が無いからなのですね!

 集中力というよりかは、「注意集中力」という言葉の方が正しいです。注意集中力と言うのは以下の2つの力です。

  • 自分が今何を考えているのかを客観視する力
  • 自分が向けたい対象に注意を向ける力

 不安が起きたり自分を批判している時、私たちはついつい無意識になっています。これはネガティブ感情に限らず、楽しいことでもそうです。私たちは普段目の前の出来事を知覚・認識して行動をしていると思いがちですが、実はそうではありません。実は日常のほとんどの時間は目の前の出来事は無視して、関係のない過去や未来のことについて考えているのです。 

 これはネガティブ感情と同じく、私たちの生存率を高めるための機能なのですね。例えば歩くという行為がものすごく複雑で、脳のほとんどの領域を働かせないとできない行為だったとしましょう。歩いている間は脳が忙しくて、他のことを考える暇がありません。私達は生きていると、歩いたり、しゃべったり、お皿をあらったりと何かしらの雑務をこなさないといけません。ですから雑務に脳の領域が全部使われてしまうと、他のことを考えていく時間が無くなってしまうわけです。これでは生物は進歩しませんよね?

 ですから普段からやっている雑務はいつの間にか、何も考えなくても、無意識に作業がこなせるように脳が発達していくのです。つまり何かに没頭している、集中して作業している時以外は私たちは現実にいないという事ができます。隙あらば現実を離れ、過去や未来や自分のことに考えを巡らせます。

 もちろんこの能力のおかげで人間が進歩してきたわけですから、ネガティブ感情と同じで絶対に必要ではあります。しかし、ここでの考え事が不安・心配だけになるとどうなるでしょうか?それに捉われ続けるとどうなるでしょうか?

日常の中で何かに没頭している、集中して作業している時間はごくわずかです。つまり日常のほとんどの時間でネガティブ感情を持つ状態になってしまいます。先に述べたように、不安になる時間はできるだけ少なくするのが克服のポイントでしたね?

 これでは克服に向けてのエネルギーがどんどん奪われていきますよね。自己批判も同じです。現実から意識が離れ、不安に駆られると、いつの間にかそんな自分を責め立てて解決を図ろうとするものです。人間はとにかく物事の原因をハッキリさせたい性質があります。自分が不安になっているのも原因が分からないよりは、自分が弱いから!と決めつけた方が一時的な安心が得られるので、ついつい自己批判に走ってしまうのです。

 私たちは不安や自己批判に陥っている時には、その状態に気づいていないのです。これまた当然のことです。せっかく雑務は無意識にこなせて、他の事を考える余裕を脳につくったのに、「あ、今考えている事は目の前の現実とは関係ないな」と簡単に切り捨てられては困りますからね。そのため私たちは現実を離れて考え事をするときはついつい無意識になるのです。そのため不安や自己批判に陥っている時には、その状態に気づくことが出来ないのです!

 つまり自分にかける言葉を変えていくといっても、それにはステップがあります。最初のステップ自分が不安や自己批判に陥っていることに気づき、それを認めることです。そこで一度冷静になれたら後は次のステップ、自分に優しい言葉をかけてあげるだけです。冷静に客観視が出来ていないと優しい言葉をかけることも出来ないのです。それでは優しい言葉でネガティブ感情を押さえつける事になってしまい、余計に反発が起きてしまいます。

 まとめると以下のようになります。自分にかける言葉を変えていくには・・・

  • 自分が不安や自己批判に陥っていることに気づき、それを認める
  • 認めて落ち着いた状態で、自分に優しい言葉をかける。

注意集中力でネガティブ感情に気づく

 不安につかまり続けたり、自己批判をやめられない原因はここにあります。今自分が不安になっている、自己批判をしているという事実をいち早く冷静に客観視しなければ、それを止めることも難しくなります。そこで役立つのが注意集中力なのです。注意集中力とは

  • 自分が今何を考えているのかを客観視する力
  • 自分が向けたい対象に注意を向ける力

という力でしたね。この力を訓練すれば、自分を客観視する力が大幅に高まります。例えば明日の会食が不安になった場合・・・

注意集中力がない場合

「明日の会食不安だな・・・」「気持ち悪くなったらどうしようかな・・・」「この病気はいつになったら治るのかな・・・」「治らなかったら将来どうなるのかな・・・」

 不安が不安を生んでいる状態です。こうなると抜け出すのは大変です。

注意集中力がある場合

「明日の会食不安だな・・・」「あ、今自分は不安を感じているんだな。でも不安は止められないし、生きるための機能だからしょうがないな。不安のままにしておこう」「不安はこのままでいいから、別の作業に集中しようかな」

 早い段階から自分が不安を感じていることを客観視しています。不安になっても単に「今自分が不安を感じている」という事以上には拡大解釈していないので、不安が大きくなっていませんよね?さらにその後すぐに自分が今できることに集中しようとしていますよね?

 この不安から現実への切り替えが、注意集中力の力なのです。不安や自己批判をさておいて、それに捉われ続ける事なく、目の前のことに集中できる切り替え力なのです。注意訓練法とはいち早く自分が不安や自己批判に捉われている事に気づき、そこから切り替えて現実に戻るのを訓練する方法なのです。

 不安や自己批判は日常いつでもやってきますので、日常の中で訓練をする機会はたくさんあります。本腰を入れて取り組めば、比較的短時間でこの注意集中力を養う事ができます。

 自分にかけている言葉を変えるには、まず自分が不安や自己批判に陥っていることに気づき、それを認める。それから自分に優しい言葉をかけてあげるというステップを踏むことが重要です。そして注意訓練法によって注意集中力を高めると、気づきの力が養われるのです。

 注意訓練法を行うには自分が不安や自己批判に捉われていないかに常に気を付けて、切り替えを意識することなのか?というとそうではありません。こうやって意志だけの力、顕在意識だけの力で何とかしようとしても注意集中力は養われないのです。

 じゃあ注意訓練法ってつまり何なの?それがズバリOPENERSの柱の技術である「瞑想」なのです。次回から詳しく説明していきますね!

今回のワーク

ワークに取り組むことで、このコンテンツを受講して自分がこれからどう行動していけばよいのか?が具体化されるようになっています。具体化した行動は、是非毎日の習慣としてください!