一番の大きな不安とは?

 会食恐怖症にも嘔吐恐怖症にもにはさまざまなタイプの⽅が存在します。「残してはいけない」「震えてはいけない」「気持ち悪くなってはいけない」と人によって抱えている不安は様々です。まずは⾃分が抱えている一番大きな不安は何か考えてみましょう。

 抱えている不安には以下のようなものがあるでしょう。これらは「誤った前提」とも言われます。このネガティブな前提によって、不安がより強くなり症状が出てしまう原因となります。

  • 「食べきれなかったらどうしよう・・・周りに変に思われないかな、嫌われないかな」
  • 「食べている途中で気持ち悪くなったらどうしよう・・・、もう会食に行けなくなったらどうしよう・・・」
  • 「食べるのが遅くて周りを待たせてしまったらどうしよう・・・、イライラされないかな」

 このような不安を持つようになったきっかけも考えてみましょう。そのきっかけとなる出来事で感じた不安がそのまま誤った前提となっているケースが多いです。そして会食恐怖症・嘔吐恐怖症の克服とは、抱えている一番大きな不安「誤った前提」を行動によって少しづつ変えていくことにあります。

 この誤った前提によって、自分が会食恐怖症タイプなのか、嘔吐恐怖症タイプなのかも変わります。そしてどのような改善行動をしていく必要があるのかも大きく変わってきます。ですからここはまず最初にしっかり考えて言語化しておきたいポイントです。一度紙に書き出してみるのも良いでしょう。

 こうして漠然と抱えている不安を一度整理しておくだけでも、不安を軽減する効果があります。不安とは、その不安と一体となり不安が絶対に正しいと考えている時に最も影響をもたらします。逆に不安や感情を紙に書き出すというのは、その不安を第三者の視点から客観視するようなものです。そして不安は客観視するほどに軽減されていきます。

克服しやすい場面からチャレンジ

 会食恐怖症と嘔吐恐怖症のどちらの側面もある場合、その症状の出方は様々な場面に及びます。

  • 「気持ち悪くなるのが怖くて会食に行けない」
  • 「気持ち悪くなるのが怖くて電車に乗れない」
  • 「テレビやドラマの嘔吐シーンでも大きく動揺してしまう」

 このように様々な場面の症状が重なりあうこともあります。このように自分がどの場面でどういう症状が出るのか?それぞれの原因となっている誤った前提は何か?も考えておきましょう。症状の出る場面が異なれば、その前提も異なってきます。

 様々な場面で症状が出ていると、克服も大変?と思われるかもしれません。一度に全てを解決する方法はありませんが、一つの場面を改善していくと、それは他の場面にも良い影響をもたらします。一つの場面を改善するたびに不安との付き合い方が上手になったり、気持ち悪さを抑える方法が上達するからですね。 ですからまずは一番克服が早そうな場面から挑戦していくことをオススメします。

 上記の場合ですと、一般的には「テレビやドラマの嘔吐シーンでも大きく動揺してしまう」「気持ち悪くなるのが怖くて電車に乗れない」「気持ち悪くなるのが怖くて会食に行けない」の順番で改善していくと良いでしょう。(一般的には自分にとって重要な人の目がある場面ほど、挑戦のレベルは上がります。)克服はスモールステップで一歩一歩着実に進んでいきましょう。