不安を受け入れる

 会食恐怖症・嘔吐恐怖症克服メールマガジン(会マグ)を受講頂き、ありがとうございます。 第八回の講義は「前向きな考え方2 不安を受け入れて前向きに考える」です。前回は不安とはどういうものかについてお話しました。今回は不安を受け入れる方法についてお話しますね!

 不安は消そうとするより受け入れることが大事とお話しました。受け入れることで不安は問題では無く、自分を行動的にしてくれる良きパートナーとなります。とはいえ、いきなり不安を受け入れる!のは難しいですよね。不安を受け入れるのも、然るべき考え方がありますので、これからお話していきますね。

成長には不安が伴う

 会食恐怖症・嘔吐恐怖症の克服に限らず、自分を成長させる場面には不安がつきものです。不安の無い毎日を送りたいと思ってしまいますが、逆に不安のない毎日はすなわち退屈な毎日という事でもあります。人間は幸福状態が維持されるようには出来ていません。どんな幸福を手にしてもやがて幸福度は下がっていき、ある程度のレベルで落ち着いてしまう事が分かっています。

 幸福とは一度手にしたら終わりではありません。幸福や安心を手に入れても、それはやがて消え失せてしまい、新しい不安を生むことになります。つまり本当に充実した人生とは幸福と不安の繰り返しなのです。不安を乗り越えて成長する→幸福になる→やがて不安になる→また不安を乗り越えてさらに成長する。こうして自分を成長させ続けいていく事が真に充実して幸福な人生でしょう。

 不安があるという事は、今まさに成長過程にいる証拠でもあります。不安を乗り越えた時自分はさらに大きく成長しているでしょう。人生で不安や辛い事を経験した人ほど、その後の人生の充実感が高いという事も分かっています。これは乗り越える度に、「不安や辛い事は人生でつきもの。それを回避するよりも、それをきっかけに自分を成長させる」という考えが成熟しているからでしょう。不安はあまり気持ちが良いものではありませんが、成長の対価としては負う価値があるものでしょう。不安になった時は「今自分が成長しているんだな~」と考えてみましょう。

不安は単なる物理現象

 不安になっている時は、その不安が全て実現する!という感情的な見方しか出来なくなっています。物理的な視点に立つと冷静な見方をする事ができます。お医者さんは患者さんを診る時に冷静ですよね。あれは患者さんの「うわぁ病気だ、どうしよう」という感情的な見方ではなく、患者さんの状態を物理的に分析して、どういう治療が適切かを判断しているからですね。では不安になるとはどういうことでしょうか?

 簡単に言うと不安とは脳からストレスホルモンのコルチゾールが分泌されている状態です。

 物理的な視点に立てば、不安も上記の物理現象であって、それ以上のことはありません。不安になった時は、「あ、今脳からストレスホルモンが出ているんだな~、でもこれは脳の物理現象だからしょうがないな~」という事を意識するだけでも、自分が不安に捉われていた事に気づけるでしょう。これまでもお話した通り不安は意思の力でコントロールするものではありません。物理現象なので、脳は時と場所を選ばずにストレスホルモンを分泌します。トイレに行きたくなるのと同じなのです。

 結局のところ、りんごが木から落ちるのも物理現象であるし、不安になってしまうのも同じく物理現象なのです。そしてりんごが木から落ちるのを止める方法がないのと同じく、今生まれた不安をきれいさっぱり消す方法も無いのです。ですから不安になったら「どうして不安がうまれるのか」「どうやったら消せるのか」と深入りせずに、「あ、今不安という物理現象が起きているんだな~、これは自分の意思では止められないからしょうがないな~、この状態で今できることに集中しようかな~」という見方をして受け入れてみましょう。

 余談ですが、かの天才物理学者アインシュタインも「わたしは自分の精神を分析してほしいとは思いません。それは永遠の謎にしておきましょう」という言葉を残しています。様々な物理現象を解き明かした天才でも、自分の心がなぜこんなことを考えるのか?は分からないので深入りしない方が良いと言っているのですね。

自分を客観視する

 物理的な視点と似ていますが、客観的な視点から自分を見ると、不安を受け入れることができます。これは自分の不安に対しては「絶対不安は実現する!どうしよう!」となるのに対して、他人の不安に対しては「そんなに心配することじゃないよ」とアドバイスが送れるのと同じですね。

 不安になっている自分を客観視するために「私は今不安を感じている状態だ」「私は○○が不安だと思っている」と心の中でつぶやいてみましょう。こうすることで自分の注意が「不安」から「自分が不安を感じているという客観的事実」に向きます。すると「今自分は不安を感じていたんだな~」「でもそれ自体はごく普通で問題ではないのだな~」と客観的視点に⽴てるのです。

 不安になっている時は、その不安が全て実現する!という感情的な見方しか出来なくなっています。ですが不安のほとんどは実現しませんし、自分の偏見で作り上げたストーリーでもあります。また不安は実現しても、自分の想像以上に悪い事であるケースはほぼありません。自分を客観視することで、不安とは必ず実現することではなく、ただの自分のストーリーであると再認識できるのです。

おわりに

 今回の講義では前向きな考え方として、不安との付き合い方についてお伝えしました。どのテクニックも不安を「現実」と思い込むのではなく、「自分が単に不安を感じているだけ」と捉え直しているのが特徴です。不安になっている自分を客観視できれば、不安をより受け入れやすくなるでしょう。次回は「正しい練習1 認知行動療法」について講義します。

 感想等も是非LINEチャットに書き込んでみてくださいね。自分の感想を書く、つまりアウトプットをすることでより理解を深めることができます。理解が深まると行動にもつながりやすくなりますよ!それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

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