会食恐怖症・嘔吐恐怖症の基本

 OPENERS第二回めのコンテンツです!

 第一回目は会食恐怖症・嘔吐恐怖症の基本について学びます。まず私達が立ち向かうべき敵!?を知らなければいけません。

 皆様も会食恐怖症・嘔吐恐怖症が発症した当初は、何が起きているのかよくわからず、不安な日々を経験されたと思います。そもそも会食恐怖症・嘔吐恐怖症についての情報が少なく、どうやって治療していけばよいのかもわからないからではないでしょうか?今回のコンテンツでは、この会食恐怖症・嘔吐恐怖症が実は「ありふれた病」であることを理解して頂きます。苦しみを緩和するためのファーストステップは苦しみが「よくあること」だと知ることです!

 

 このOPENERSを受講された皆様は以下のような症状に悩まされていかと思います。

「誰かと一緒だと食事ができない・・・」 「吐くのが怖くて会食・外出ができない・・・」

「常に気持ち悪くならないかの不安がある」「電車や車に乗るのが不安」 「⼈が吐いているのや吐しゃ物を⾒るのが怖くてたまらない」

 このような症状は嘔吐恐怖症と呼ばれ、嘔吐に対する恐怖で日常生活に支障が出る病気です。 嘔吐に対する恐怖が気持ち悪さを強め、日常の中で慢性的な気持ち悪さが起こります。会食の場だけこの「吐いたらどうしよう・・・」という気持ちが出る場合もありますが、その他の場面でも同じ気持ちが起こり、電⾞に乗り⾟くなったり、普段の食事がとり⾟くなったり、会食以外の場面でも支障をきたす ことがあります。

嘔吐恐怖症の3タイプ

 嘔吐恐怖症の方は嘔吐に対する恐怖を抱えていますが、恐怖となる対象も異なります。「吐いているのを人に⾒られるのが怖い」「吐くという⾏為そのものが(苦しみ・死を連想させて)怖い」「他人が吐いている姿や吐しゃ物を⾒るのが怖い」等、恐怖の対象は様々です。

 会食の場で症状が出る場合には「会食恐怖症」に分類されることもありますが、「気持ち悪くなるのが怖い」「吐いてしまうのが怖い」という気持ちが原因で会食が出来ない場合は、嘔吐恐怖症であると言えますね。こういう症状にはちゃんとした名前が無いのでカウンセラー界隈では「吐いたらどうしようタイプの会食恐怖症」という分かりやすい名前を付けて区別したりします。このOPENERSで会食恐怖症という言葉は「吐いたらどうしようタイプの会食恐怖症」を指します。

 まとめると嘔吐恐怖症は症状が以下の3タイプあるという事ですね!

  • 「吐くのが怖くて会食ができない」(吐いたらどうしようタイプの会食恐怖症)
  • 「吐くのが怖くて電車や車に乗れない」
  • 「他人が吐いている姿や吐しゃ物を⾒るのが怖い」

 OPENERSではこの吐いたらどうしようタイプの会食恐怖症も嘔吐恐怖症の症状の一つと分類しますので、以降は全ての症状を嘔吐恐怖症という言葉に統一して使っていきます。さてこの嘔吐恐怖症ですが、はっきりとした疾病の分類があるわけではありません。

 一方、会食恐怖症は精神医療の分野では「社交不安症」のひとつとされています。 「社交不安症」とは「社交機会に対して健全でない強い不安を覚え、日常生 活に支障をきたす精神的な疾患」とされ、会食恐怖症以外にもスピーチ恐怖、 電話恐怖、赤面恐怖、腹鳴恐怖、書痙(しょけい)など、様々なものがありま す。簡単に言えば「誰かに⾒られていると、ある特定の⾏動がうまくできなく なってしまう病気」ということです。通常このような状態が半年近く続くと、 病院では「社交不安症」という診断になるようです。 症状は吐き気、めまい、胃痛、嚥下(食べ物が呑み込めない)、緘黙(黙り込んでしまう)、⼿の震え、嘔吐など様々です。

嘔吐恐怖症は社交不安症?

 では嘔吐恐怖症は単なる「社交不安症」なのでしょうか?ですが、嘔吐恐怖症の場合は「一人でも会食が出来ない」方もたくさんいらっしゃいますし、「電車や車に乗れない」「他人が吐いている姿や吐しゃ物を⾒るのが怖い」といった症状は説明がつきません。これは私の中でもずっと疑問でした。

 この問題がはっきりしたのは、日本の最先端心療をしている赤坂クリニック(嘔吐恐怖症も専門に扱っている)のカウンセラーさんに話を聴きに行った時でした。

 どうやら嘔吐恐怖症は社交不安症よりも「パニック障害」に近いことが分かりました。(もちろん社交不安症の側面もありますが)皆様も経験はなくてもこのパニック障害という病気は聞いたことがあるのではないでしょうか?嘔吐恐怖症よりもずっと有名な病気で、心療内科ならまず間違いなく扱っているでしょう。

 パニック障害の場合は、パニック発作が出ることへの不安がよりパニック発作を強めます。これと同じく嘔吐恐怖症も嘔吐への不安がより様々な症状を強めます。不安の対象は違いますが、症状としては良く似た部分がありますので嘔吐恐怖症は「社交不安症の側面もあるパニック障害の1種」であると言えます。

 つまり嘔吐恐怖症とマニアックな名前がつくと情報も少なくて、治療法も存在しないのでは?と思い込みがちですが、社交不安症の側面もあるパニック障害の1種と捉えれば、社交不安症やパニック障害に対する治療法が効果的であることが分かりますよね?そして実際に全てが効果的なのです。(これからお伝えしていく認知行動療法・不安を減らす考え方・瞑想などがあります)

 こうした社交不安症やパニック障害を含めた疾病全般を「不安障害」と言ったりします。社会が発展して豊かになる一方で、こうした不安障害は増加傾向にあります。第一回目のコンテンツでも説明しましたが、生活が豊かになるほどに、「常に幸福でいるのが普通」という思い込みが生まれ、ネガティブ感情に抵抗する傾向が強くなった為でしょう。米国立精神衛生研究所では年間を通して5人に1人の成人が不安障害に悩んでいたという統計を発表しています。10代の若者になればこの数字はさらに上がり25%が病的な不安障害を抱えています。成人期全体を通してみるとこの数字はさらに高くなり3人に1人が不安障害を経験します。

 しかもこの数字は不安障害と診断された人のケースに限ります。これに加えて日々の様々なストレスも加わるわけです。こうして考えると私たちは不安を経験せずに生きること、不安に健康を脅かされずに生きるのは相当難しいことがお分かり頂けるでしょう。不安障害は人生の中で起こりうる非常にありふれた疾病なのです。

嘔吐恐怖症はありふれた病

 ここまでくると嘔吐恐怖症さえも、それほど珍しい事では無いですよね?実際私もカウンセリング活動を始めて1年足らずで、延べ300人以上の方にカウンセリングを行ってきました。他にもカウンセラーはたくさんいますし、そもそもカウンセリングを受けてみよう!と一歩踏み出される方の方が少数ですから(かつて私も相談する勇気が全くありませんでした)相当数の方が嘔吐恐怖症に悩んでいることが分かります。まとめると

  • 嘔吐恐怖症はよくある不安障害の一つである。
  • 不安障害の治療法全般が嘔吐恐怖症にも効果的である。

という事です。

どうでしょうか?自分の症状が、徐々にどういうものか具体的に分かってきたのではないでしょうか?次回からさらに詳細な恐怖症のカラクリや、克服方法についてお伝えしていきますのでお楽しみに!

今回のワーク