目標はとにかくスモールステップ

 会食恐怖症・嘔吐恐怖症克服メールマガジン(会マグ)を受講頂き、ありがとうございます。 第十回の講義は「正しい練習2 認知行動療法を効果的にする方法」です。前回は認知行動療法の基本についてお話しました。今回は認知行動療法の効果をさらに高めて、続けていける方法をお話していきますね!  

 時間をかけてもゆっくりと確実に前進していく事が大切です。認知行動療法のスモールステップは自分が挑戦しやすいように、どんどん細かくしてしまいましょう。いきなり高い目標に挑むと、うまくいかなかった時に自分を低く評価してしまう原因にもなります。ハードル設定は「不安もあるけど、うまくいくかもしれない」ぐらいが適切ですね。どんなに小さな一歩でも、それをクリアして、自分を認めながら前に進む、というのは人間のモチベーションを維持するために良い方法です。

 調子が出ない時は、以前よりもハードルの低いステップに設定しても大丈夫です。ハードルを下げることは後退ではありません。認知行動療法は繰り返すほどに効果が出ますので、以前よりハードルが低いステップに挑戦しても大きな意味があります。調子が良い時と、悪い時を行ったり来たりする時もありますが、時間をかけた分だけ調子を落としにくくなっていきます。

自分を正しく評価する

 認知行動療法において最も大事なポイントです。認知行動療法の目的は潜在意識を変えていく事でした。これは認知行動療法の結果を自分がどう評価するか?で大きく変わってきます。

 認知行動療法を行ったからと言って、常に自分が望むような結果を得られるとは限りません。私達は練習と分かっていても、どうしても期待をしてしまいます。「食べきれたらいいな」「気持ち悪くならなといいな」練習ですから、こうした期待通りにならない事もたくさんあります。こうした事にも挫折せずに、そして潜在意識を良い方向に変えていくには結果を正しく評価する必要があります。

 例えば会食練習に行って気持ち悪くなってしまった時、「気持ち悪くなってしまった、やっぱり自分には無理なんだ」と考えるのか「症状は出ても会食練習に挑戦できた!」と考えるのでは大きな違いがあります。前者の評価ではやがて行動するエネルギーが無くなってしまいます。後者の評価では行動を維持する事ができて、潜在意識も良い方向に変わっていきます。認知行動療法はその後の評価が非常に重要なのですね。完全にはコントロールできない「結果」よりも自分が挑戦したという「行動」を評価しましょう。

 症状が出てしまっても、後になって「あの時も症状出たけど、まぁ何とかなったよね」と自分を支えてくれる経験になったりします。成功体験も苦い体験も、それに挑戦した自分を褒めて、できた部分を評価することで、潜在意識は確実に良い方向に変わっていくのです。つまり認知行動療法においては「失敗」がありません。挑戦したことは全て意味があります。認知行動療法を行うたびに、自分が確実に成長したことを認めてあげないといけません。

 正しく評価を行うには「もし自分の親しい友人が同じ立場だったら、どんな言葉をかけるか」という視点で考えるのがオススメです。もし他人に言葉をかけるなら「苦手に挑戦してすごいね」「確実に前進できたね」というような言葉をすぐに思いつきますよね。私達は自分よりも他人に慈悲を向ける事が得意なのです。最初のうちは心の底から思えなくても、まず想像してみるのが大切です。やがてそういう慈悲的な言葉を自分に自然にかけられるようになりますよ!認知行動療法を行った日は、結果はどうあれ自分を褒めてから寝るようにしましょうね!

練習は焦らない

 認知行動療法を始めて効果を実感すると、すぐに次の練習に踏み出したくなります。もちろん回数と頻度が高いほどに、認知行動療法の効果も高まるのでどんどん練習に励むのは素晴らしいですが、いつでも練習の機会があるとは限りません。

 特に会食恐怖症の場合ですと、自分一人の外食なら問題ないが、誰かとだとダメ!というケースもあります。このような場合は会食が練習になるわけですが、いつでも会食の機会があるとは限りません。特に近年はコロナの影響で、会食という文化そのものが減少しています。このような状況では自分の思うように練習の機会が得られるとは限りません。

 練習期間が空いてしまうと、不安が戻ってきてしまう事を経験する人が多いです。「せっかく調子が良かったのにまた不安になってしまった・・・」「次はいつ練習できるのかな・・・」という状態になりがちです。ですが練習の機会は自分で完全にコントロールできるものではありませんよね?こんな時こそ練習を焦らずに、一人でもできる練習をしていくチャンスなのです。

 ここで認知行動療法よりも先にお話した「前向きな行動」と「前向きな考え方」が重要になってくるのです。不安になりがちなら不安を受け入れる練習ができます。また自分の前向き習慣や、前向き目標を頑張って日々を充実させることも出来ます。こうして会食の無い時期を、いかに気力を充実させて過ごすか?というのも立派な練習なのです。一人でも自分を成長させることは出来るのですね!

おわりに

 今回の講義では認知行動療法の効果をさらに高める方法をお話しました。特に自分を正しく評価するというのは重要な項目ですから、是非意識しておきましょう。次回は症状を抑える方法について講義します。

 感想等も是非LINEチャットに書き込んでみてくださいね。自分の感想を書く、つまりアウトプットをすることでより理解を深めることができます。理解が深まると行動にもつながりやすくなりますよ!それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

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