回避行動

 会食恐怖症・嘔吐恐怖症克服メールマガジン(会マグ)を受講頂き、ありがとうございます。 第三回の講義は「回避行動と負のスパイラル」です。会食恐怖症・嘔吐恐怖症についての理解が進んでいない場合は、ついついこの「回避行動」と呼ばれるパターンに陥りがちです。

 会食恐怖症・嘔吐恐怖症だと当然会食やその他苦手な場面に挑戦するのは抵抗がありますよね。しかし人間は「ある恐怖や思い込みに従って⾏動して、安心感を得ると、どんどんその恐怖や思い込みが強化されていく」という性質があります。

 会食を避けていると会食に⾏くことの不安が一時的には回避されますが、次の会食への不安がより大きくなります。また会食を避けてしまった自分に対する自己批判的な感情も不安を生みます。こうしてさらに不安を抱えると、次の会食に⾏くのが難しくなります。そして「あぁやっぱり自分に会食はできないんだ」という思い込みが強化されていくことになります。これを「回避⾏動」と言います。

 嘔吐恐怖症の場合は嘔吐恐怖を避けるために「食べた直後は出かけない」「万一のために常に袋をポケットにしのばせる」「人との会食を避ける」「吐
いている人を避けるため夜の街にはいかない」等の⾏動をとりがちです。こうした⾏動で「吐いたらどうしよう」と不安になる場面は減らせますが、日常生活に支障をきたしますし、回避⾏動がとれなかった場合に嘔吐恐怖をより強めてしまうことになります。

 前回、恐怖症の原因は潜在意識にあることをお伝えしました。この回避行動を続けていると自分で気づかないうちに、「会食や嘔吐は怖いもの」という意識がどんどん強化されてしまうのですね。安心するための行動をとるのは人間として当然ですよね!ですが恐怖症の場合はこれが落とし穴になってしまうのです。

 会食恐怖症・嘔吐恐怖症の理解が無いうちはこの回避⾏動を知らず知らずのうちにとってしまい、悪化させてしまうケースがあります。克服のためにはひとつひとつ回避⾏動を⼿放していくことが必要になります。逆に言えば「症状があっても苦手な場面を避けていない」ということだけでも、とても良い状態であると言えます。

自己肯定感の低下

 回避行動を取ると潜在意識が良くない方向に変わってしまう事をお話しましたが、それに加えて自己肯定感が低下する事にもつながってしまいます。

 回避行動を取る場合には、どこか本人も後ろめたさを感じています。「会食を避けていると治らないかな」「避けてばかりいると、より悪くなっちゃうかな」回避すれば大丈夫!と心の底から思えていることは、あまりないでしょう。

 すると回避してしまった自分に対する肯定感も下がってしまいます。「どうして自分は勇気が無いんだろう」「どうして普通のことが出来ないんだろう」前回お話した通り、会食恐怖症・嘔吐恐怖症を意思の力だけでコントロールするのは不可能です。回避行動についてよく理解していないうちは、回避行動をとってしまっても、それは当然です。自分を責める必要は全く無いのですが「自分の意思が弱いからだ!」と自己肯定感の低下につながってしまうのです。

 そして自己肯定感が低下すると、日常でも不安を感じることが多くなります。会食恐怖症・嘔吐恐怖症に対する不安も増してしまい、それがさらなる回避行動につながってしまいます。それがまた自己肯定感を低下させる・・・これが回避行動の負のスパイラルなのですね。

回避行動を手放す

 ここまで回避行動の負のスパイラルについてお伝えしてきました。徐々に回避行動を手放していく必要があるわけですね。会マグの後半でさらに詳細に回避行動を手放すための「認知行動療法」についてお話していきますが、ここでは簡単に回避行動を手放すポイントをお伝えします。

 まず全ての回避行動をいきなり手放す必要はない、という事ですね。例えば吐き気止めを服用しなければ、会食に行くのが難しい!と言う場合です。すぐに吐き気止めを止める必要はありません。この場合は会食に行くという大きな挑戦を回避していないので、その助けになるのであれば薬を使うのも悪い事ではありません。お茶だけ・お菓子だけ・軽食だけというような難易度がやや下がる場面で「今日は薬なしでいってみよう」という感じで緩やかに手放していけばよいのです。

 また回避行動を手放す際には、スモールステップで行いましょう。挑戦のハードルが高すぎると、うまくいかなかった時にまた自己肯定感が低下する原因にもなります。いきなり普通の会食に行くのが難しい場合は、まずはお茶だけでも良いでしょう。それも難しければ、お店の前まで行って自分が会食できている姿をイメージするだけでも良いのです。少しづつ前進して、挑戦した自分を褒めていくことで、確実に潜在意識は良い方向に変わっていきます。

 どのような目標に向かうのも同じですよね!「少しづつ前進する」「挑戦した自分を褒める」これの繰り返しですね。

おわりに

 今回の講義では回避行動と負のスパイラルについてお伝えしました。もちろん回避行動をすぐに手放す必要はありません。徐々に手放していけば良い事が分かっただけでも前進です。会マグの後半ではさらに詳細にその方法をお伝えしていきますね!次回は「病院には行くべき?」について講義します。

 感想等も是非LINEチャットに書き込んでみてくださいね。自分の感想を書く、つまりアウトプットをすることでより理解を深めることができます。理解が深まると行動にもつながりやすくなりますよ!それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

 さらに詳しく会食恐怖症・嘔吐恐怖症の克服について知りたい方はこちら!