自己批判をやめる

 OPENERS13回目です。前回は行き過ぎた自己批判は無駄なのではありません。無駄よりも、もっとたちの悪いものなのです。 という事をお伝えしました。それでは自己批判をやめる方法について詳しくお伝えしていきますね。

 私達は自分について考える時は、ついつい無意識に自己批判的になります。またこれまでの人生で自分に対して優しい言葉をかけるという習慣がないために、いきなり優しくするというのは違和感を感じるかと思います。

 これはしょうがない事です。これまでもお伝えしてきた通り、人間は基本的にはネガティブ感情が大きく、それを抑圧することも出来ないからです。少しでも不安要素があると、ひっきりなしに自己批判を始め、何が何でもその不安を打ち消すため(不安は完全には打ち消すことができないのですが)の努力をさせるか、もしくは完全に諦めさせるかの2択です。

 自分が不安に捉われていたり、自己批判的になっている事に気づいて、自分を客観視する。これには瞑想によってマインドフルネスになるトレーニングが必要でした。同じように自己批判をやめて、自分に優しい言葉をかけていく、大切な人のように扱う・・・これにも瞑想と同じくトレーニングが必要です。

 それがOPENERSの瞑想につぐ、核の技術「セルフコンパッション」です。

科学的に自分に優しくする~セルフコンパッション

 そこで今回はセルフコンパッションの基礎についてお話していきます。こちらは瞑想に比べると、やることは非常に単純です。

 セルフコンパッションの一番基礎の考え方は「他人に向けている慈悲を自分に向ける」です。皆様の心にも当然慈悲はあります。他の人が困っている時は自然と「かわいそう!助けてあげたい」という気持ちが浮かびますよね?

 もしあなたの大事な人が、あなたに悩みを相談したとしましょう。そんな時「ダメなやつだ!」と一蹴する人はいませんよね?自然と親身になって、客観的なアドバイスを送るはずです。これが誰の心にもある慈悲なのです。他人のことになると私たちは自然と慈悲の心が発揮され、寄り添った優しいアドバイスが自然にできるのです。

 つまりセルフコンパッションの第一歩は「他人にかけるような言葉を自分にかける」です。

 言葉にしてみると実に単純ですが、こうした普段私達はこうした態度を自分に向けることはほとんどありません。

他人のように自分を扱う

 今度自己批判的な瞬間に気づいたら、「もし私の大切な人が同じ境遇だとしたら、私はどんな言葉をかけるだろうか?」と考え直してみて下さい。例えば!あなたが嘔吐恐怖症がなかなか改善せず、食事をとろうにも全然食欲がない・・・。食事に対してネガティブ感情ばかりが起こる・・・。こんな時は自分に対してイライラしてしまいますよね?

「どうしていつまで経っても治らないの?」「どうしていつも食欲がないの?」「どうして私はいつまでたっても変われないの?」

 普通の感覚で行けば、こういう言葉が止まらなくなるでしょう。

 ここでもしあなたと同じ境遇に置かれた大切な人が同じことで悩んでいるとしましょう。はたして同じような言葉をかけますか?かけないですよね?「食べられなくても、治らなくても、あなたの価値が変わるわけじゃない」こういう言葉を自然に思いつきますよね?こういう言葉を自分にもかけてあげれば良いのです。

 これが人が本来持っている慈悲の心なのです。普段から他人に向けている慈悲を少しでも自分に向けることで、精神の安定をもたらします。人間はどんな状況に置かれても、大丈夫だよと言ってくれる人がいれば安心できるものですが、これを自分でもたらしてあげるということなのですね。

自分にも優しいのが本来の人の姿

 最初のうちは、優しい言葉を自分にかけるのは抵抗があると思います。心から自分に優しく出来ているか?本当に優しい気持ちがあるか?というのは最初のうちは問題ではありません。こうした「敢えて大切な他人のように自分を扱ってみる」という視点を切り替えるトレーニング自体に効果があります。

 こうしたセルフコンパッションな態度ですが、これは少し意識するだけでも早く養うことができます。上記のような慈悲を自分に向ける練習をしていくと、自己批判的な態度になった時にすぐに違和感を感じるようになります。

 これまで当たり前に自分に浴びせていた罵声に違和感を覚えるようになり、すぐに自分の慈悲の心が「ひどい!そんなの全然的外れだ!そんな言い方はおかしい!」と顔を出すようになります。

 私自身もこれまで様々な心理テクニックを実践してきましたが、このセルフコンパッションな態度は一番早く身に着いたと思いますし、しっかり定着した感覚もあります。いかなる状況でも「自分だけが悪い」「自分はダメな人間だ」などと考えることがなくなりました。

 むしろすぐに他人を励ますような言葉が自分の中で生まれてくるのです。こうした慈悲の心を自分に向けることができるなんて知りませんでした。恐怖で自分のお尻を叩くのではなく、自己愛で自分を受け入れてあげるのが本来の人間の姿だという事ですね。

 こうした態度は何気ない事ではありますが、残りの人生を自己批判的な態度と恐怖と嘘で自分のお尻を叩き続けるのか、それとも慈悲の心で自分をいつでも励ましていけるのか・・・長期的に見れば大きな差が出てきます。

他人にも優しくなる

 そして自分に対するセルフコンパッションな態度を向けることで、他人に対する慈悲もより一層高まります。自分に対しても優しくいられるのだから、他人に対しては自然ともっと優しくいることができます。

 これまで私も他人の態度が気に入らなかったり、何気ない一言がいつまでも気になってきたのですが、セルフコンパッションな態度を意識し始めてからは「別に悪気があったわけじゃない」「人間誰でも言葉選びを間違うことがある」といった慈悲のまなざしで他人を寛容に受け入れられる事が多くなりました。是非皆さんもセルフコンパッションな態度を養ってみましょう。

 これからの時代は「他人に優しく、自分に厳しく」ではありません。

 科学的に正しいは「他人に優しく、自分にはもっと優しく」です。本当に「優しい人」とは自分に対しても優しい人、すなわち「メンタルが強い人」という事になります。

セルフコンパッションと瞑想


 今回はセルフコンパッションの基礎についてお伝えしてきました。セルフコンパッションはこのOPENERSにおいては瞑想の次に重要な技術という位置づけです。

 心理技術というのは、単に一つだけでも効果を発揮するのですが、その組み合わせによりより大きな効果を発揮することが出来ます。

 まず皆さんにこれまで瞑想をお伝えしてきたのは、慢性不安や自己批判の悪循環を断ち切るためでした。瞑想により、無意識のネガティブ感情につかまり続けることが少なくなり、今の自分の状態を客観的に見る力が養われていきます。こうして「あ、今自分で不安を大きくしていたな」「あ、今自分を批判していたな」という事実に素早く気づけるようになります。

 この自分を客観視する力が無い状態でセルフコンパッションの技術をお伝えしても、なかなか定着しません。セルフコンパッションは不安になったり、自己批判的になった時に、自分に慈悲の心を向けることでストレスを減らす技術ですが、そもそも自分がネガティブ感情につかまっている事に気づいていなければ、いつセルフコンパッションを実践すれば良いかもわかりませんよね?

 そのため瞑想とセットでセルフコンパッションを実践するとより効果が高まります。瞑想によるマインドフルネスによって自分がネガティブ感情につかまっている事に気づきます。じゃあ次に必要なものは何か?それがセルフコンパッションなのです。人生どんな状況でも同じですが、状況を冷静に把握し、最善の行動をとらなければいけません。

 ネガティブ感情に捕まった時も同じです。状況を冷静に把握する力が瞑想によって養われ、その後の最善の行動がセルフコンパッションなのです。

全てのネガティブ感情に対する処方箋

 ここまでOPENERSで学びを深めてきた皆様に、ついに以下の「全てのネガティブ感情に対する処方箋」をお届けできます。どんなネガティブ感情に捉われたとしてもやる事はこれだけです。

 ネガティブ感情につかまるマインドフルネスで自分を客観視してネガティブ感情になっていることに気づくセルフコンパッションを与える

ネガティブ感情「病気が良くならない自分に腹が足つ」「自分は全くダメ人間だ」「どうして変われないのか」

ネガティブ感情になっていることに気づく「あ、今イライラしてたな」「乱暴な言葉で自分を無理やり変えようとしてたな」

セルフコンパッションを与える「誰でもイライラすることはある」「他の人も同じ状況のおかれたら、同じ気持ちになる」「病気だから私の価値が下がるわけじゃない」「いつでも前向きに行動している」

 この流れを練習していきましょう。慣れてくると自然にこういう思考プロセスが流れるようになります。これまでの自分の不安を大きくしたり、自己批判的な態度に違和感を覚えるようになるでしょう。

 どんな場面でもこの流れが最善策です。会食が不安な時も、普段の食事が食べられなくてイライラしている時も、認知行動療法が思うように進んでないと感じる時も、暴露療法中に恐怖感情がやってきた時も全てこの方法で対処していきます。

今回のワーク

 ワークに取り組むことで、このコンテンツを受講して自分がこれからどう行動していけばよいのか?が具体化されるようになっています。具体化した行動は、是非毎日の習慣としてください!