認知行動療法プログラムを作成するワーク

 では一体何が回避行動で、何が回避行動ではないのでしょうか?これを考えるには以下の質問を自分にしてみましょう。

「もし嘔吐恐怖症じゃなかったとしたら、自分は何がしたいのか?」

 お肉が食べたい。旅行に行ってみたい。食べた後でも気にせず外出したい。いろいろ出てきたと思います。この中で十分に実現できていないことがありますよね?その実現を阻んでいる行動・・・これが回避行動なのです。

 例えば本当はお肉が食べたいのだけれど、脂っこいものは気持ち悪くなるイメージがあるので食べないようにしていればそれは回避行動ですね。また食べた後でも外出したいけど、すぐには怖いのでお腹がすいてから出かけるようにしているのも回避行動ですね。

 こうした自分の中での回避行動を手放すために、自分でそのステップを設計してみましょう。今回のワークで実際に取り組んで頂きます。ワークでは以下の質問に答えていくことで、自分専用の認知行動療法プランが作成されます。

 ただ単純に行動計画を決めてやりましょう!というだけでは、挫折してしまいます。その行動を行って、それを自分でどうする評価するか?という所まで考えておくと、よりチャレンジしやすくなります。

先に紹介した3つの症状タイプで説明する。

自分のタイプを知る

 認知行動療法の第一歩は「会食恐怖症・嘔吐恐怖症のタイプを知る」という事ですね。会食恐怖症・嘔吐恐怖症の症状が出るのは、症状が出るという不安に注意が向きすぎて、その不安が大きくなり恐怖になるからです。「どうして症状が出てしまうのが怖いのか」これをまず考えて、自分の一番の不安を特定することから始まります。

 会食恐怖症・嘔吐恐怖症をタイプ別に分けて、それぞれに代表的な不安を挙げておきました。この中に皆様が抱えている不安もあるのではないでしょうか?不安の対象が異なれば、それに適した認知行動療法も変わってきますので、まずは自分の不安をしっかり自覚しておくことが重要です。

会食恐怖症

  • 会食で食べない事を変に思われるのが怖い
  • 会食で手が震えるのを変に思われるのが怖い
  • 食べない事で人付き合いの機会が減るのが怖い

嘔吐恐怖症(自分が吐くのが怖いタイプ)

  • 会食の途中で気持ち悪くなり吐いてしまうのが怖い
  • 電車で気持ち悪くなり吐いてしまうのが怖い
  • 外出中に気持ち悪くなり吐いてしまうのが怖い

嘔吐恐怖症(他人が吐くのが怖いタイプ)

  • 外出中に他人の嘔吐や吐しゃ物に遭遇するのが怖い
  • 家族や子供の嘔吐処理をするのが怖い

認知行動療法を設計する

 自分の一番の不安を自覚したら、認知行動療法によって、「その不安が実は大丈夫だった!」という事を確認していきます。この確認によって潜在意識が良い方向に変わっていくのですね。どうすればその不安が大丈夫であることを確認できるのでしょうか?それは「敢えて自分を不安な状況に置く」という事になります。少し不安だったけど、実際は何とか大丈夫だったという体験をする事ですね。

 例えば「会食で食べない事を変に思われるのが怖い」タイプの会食恐怖症を考えてみましょう。この場合不安な状況というのは、自分が食べない状況という事になります。敢えて食べずに残して、その状況を作り出す事で、「食べなくても周りはあまり気にしてなかった」「食べられない事をうまく伝えられた」という経験ができるのです。

 とはいえいきなり不安な場面に挑戦するのはハードルが高いですよね。そこで認知行動療法はスモールステップで行います。このタイプの場合以下のようなスモールステップを組んで、段階的に挑戦していくのが良いでしょう。

  • 一人で外食に行って、少し残す
  • 一人で外食に行って、半分残す 
  • 友達と外食に行って、少し残す
  • 友達と外食に行って、半分残す
  • 会社の人と外食に行って、半分残す

 もうひとつ別の例も考えてみましょう「外出中に気持ち悪くなり吐いてしまうのが怖い」タイプだと以下の認知行動療法が適切です。

  • 飲み物を飲んだ後、すぐに近所まで外出する
  • 軽く食事をとった後、すぐに近所まで外出する
  • 軽く食事をとった後、少し遠くまで外出する
  • 普通の食事をとった後、少し遠くまで外出する
  • 満腹まで食事をとった後、少し遠くまで外出する

 自分のタイプを自覚したら、「どうしたら敢えて自分を不安な状況に置けるか」「どうしたら徐々に難易度が上がるか」を考えていきましょう。そして上記のようなスモールステップを組んで、段階的に実践していきましょう。

 また他人が吐くのが怖いタイプの嘔吐恐怖症の方については、認知行動療法の代わりに「暴露療法」という専門の治療が用いられます。暴露療法は嘔吐に関するイラストや画像や動画を見ることで、徐々に恐怖を減らしていくという治療法です。こちらに取り組むには暴露療法についての知識や、治療コンテンツが必要となります。カウンセリングや配布している電子書籍の中でも解説していますので、詳しく知りたい方はページ終わりの「相談したい方へ」から相談をお願いします。

プログラムを作成する3つの質問

嘔吐恐怖症のために避けていることは何でしょうか?

嘔吐恐怖症が無かったら本当はどう行動したいですか?その行動に近づくための行動ステップを作成してみましょう

ここでは複数の行動が出てくると思います。その中でまずは日常頻度が高く、生活に支障をきたしている物を選んでいきましょう。(会食を避けている、電車を避けているなど)

そして行動ステップはとにかく細かく分割します。ワークでは5段階で設定していますが、それ以上に細かい分割でも大丈夫です。

ステップに挑戦した時に、どういう失敗が不安ですか?

もしその不安が起きてしまった時はどう行動しますか?

人間はあらかじめ良くない事態が起きた時に起こす行動を決めておくと、不安が低減されます。

ここもあらかじめ詳細に考えておくと良いでしょう。

もし思うような結果にならなかったときは、自分にどんな慈悲のまなざしを向けて、自分を励ますことができますか?

  • 結果が出ても、出なくても、認知行動療法で確実に克服に近づきます。

もし思うような結果にならなかったときは、自分にどんな慈悲のまなざしを向けて、自分を励ますことができますか?

これが最も大事な質問です。ほとんどの方は認知行動療法を行っても、その後結果が出なかった自分を責める傾向にあります。そんな時は、自分を責めているという状況にマインドフルネスになり、セルフコンパッションを与えてあげる事が必要でした。

自分と同じ状況に置かれた大切な人が、チャレンジした後にかける言葉というイマージで考えておくと良いでしょう。