
こんにちは!OPENERSです。
前回最も基礎のインフォーマルな瞑想として、「3分間呼吸法」を紹介しました。今日ももう一つインフォーマルな瞑想を紹介したいと思います。それは「日常の瞑想トレーニング」です。(これに関しては一般的な正式な名称が無いので、こう呼称しています)
今この瞬間に集中することが全ての瞑想の基本であり、これができれば全ての行動が瞑想のトレーニングになるという話をしました。というはことは「さして集中もしていないが、毎日行っている行為」があればそれを全て瞑想トレーニングの時間に変える・・・、そういったことも可能です。
例えば「掃除」「皿洗い」「歩く」などなど・・・日常こうした雑務は頻繁に発生するわけです。ですが!これらの雑務をこなしている時に、その行為自体に集中している人はどれだけいるでしょうか?これらの行為はもう何百回とこなしており、さして面白い行為とも見なしていない為、ほとんどの人は別の心配事を考えながらこなしてることでしょう。
「メンドクサイな」「仕事が溜まってるな」「今度の会食不安だな」「最近人間関係がしんどいな」
雑務をしながらも、思考は全然別の所にあるのではないでしょうか?そしてほとんどは上記に挙げたようなネガティブな思考ではないでしょうか?
これは嘔吐恐怖症の人に限らず、現代人はほぼこの状態です。よほど特別な出来事でなければ、目の前の出来事に集中していることはほぼありません。何かをしていても、何かが起こっていても退屈を感じるとネガティブなことを考えるか、スマホを見ているかのどちらかです。
とにかく私達は何かを考えない、何も起きないということに耐えられなくなっているのです。そうなれば大きな悩みごとがあると、日常のほとんどの時間が悩む時間で占められてしまうことになります。
日常の瞑想トレーニングでは敢えて日常の退屈な時間や雑務に集中することによって、雑務も瞑想の時間に変えてしまおうという試みです。
つまり日常の雑務時間でも嘔吐恐怖症の克服に寄与できるのです。これってスゴイことですよね?
私は普段から克服のためには実際に会食に行ったり電車に乗ったりなどの認知行動療法実践の時間よりも、普段の過ごし方が大事とお伝えしていますが、その最たる例だと思います。嘔吐恐怖症は悩む時間が少なければ、少ないほうが良いことをお伝えしてきましたが、このトレーニングでは悩む時間を瞑想の時間に変えてくれるのです!
では具体的なやり方を見ていきましょう。どれもやり方は同じです。特別なことは何もありません。ただ意識を全て今やっている行為に向けるのです。例えば以下のような感じで行ってみましょう。
日常の瞑想トレーニング[掃除編]
- 掃除機の音に集中する。どんな音がする?音は一つだけ?モータの音や吸い込み音など複数の音がする?
- 手に伝わる感触は?掃除機の振動が伝わる?温度は?冷たいより熱い?
- 匂いは?ほこりっぽい匂いがする?かび臭い匂いがする?
- 掃除中に自分はどんなことを考えている?
日常の瞑想トレーニング[皿洗い編]
- 水しぶきの音、シンクに流れ込む音に集中する。
- 水の温度を感じる。冷たい?温い?
- 皿の重さを感じる。
- 水の流れ方、泡の生まれ方、はじけ方をじっくり観察してみる。よく見るととってもキレイ。
日常の瞑想トレーニング[歩く編]
- 足裏に意識を集中させて、足があがって降りてくる感覚を感じ取る。
- 体重はどこに乗っているか?体重をかけるとどんな感じがするか?足取りは重いか?軽いか?
- 散歩なら景色を存分に楽しんでみる。
日常の瞑想トレーニング[電車編]
- スマホを見るのをやめてみる。
- 電車の音や景色をじっくり味わってみる。どんな音が混ざっている?どんな景色が見える
- 電車に乗っている人を眺めてみる。みんな何をしている?
日常の瞑想トレーニング[TV・YOUTUBE編]
- TVやYOUTUBEの内容に全力で集中する。
- 途中別のことを考えだしたら、また呼吸と見ている動画に集中を戻す。(動画視聴でも集中すれば立派な瞑想です!)

今に集中する

雑務をやりながら「体の感覚」「音」「におい」「見えている物」これらに雑務をしながら生まれてくる感覚に意識を向け続けます。そしていつものように思考がさまよいだしたら、また意識を雑務に戻そうとしてください。前回3分間呼吸法をお伝えしましたが、雑務に意識を戻す前に、一度呼吸に意識を戻すとスムーズです。
思考がさまよいだしたら、まずは自分が穏やかに呼吸していることに気づきましょう。それから意識を対象を徐々に広げていって、いま自分がやっている作業に向けるのです。
雑務以外にも「音楽を聴く」「テレビを見る」「お風呂に入る」といったリラックス時間も瞑想時間にできます。意外ですがこういうリラックス時間もついつい頭の中はネガティブ感情が渦巻いており、全然集中できていないこともあります。こういう時も意識を今やっていることに集中させれば、瞑想時間になります。
どんな時も瞑想でやることは同じです。自分の五感に集中することです。聞こえている音をじっくり聞きます。肌の温度や感覚を感じます。見えている物をただじっくり眺めます。そして呼吸に集中します。 脳内を思考ではなく、五感の処理で埋め尽くすイメージです。
日常の瞑想トレーニングをやれば普段私たちが「いかに目の前のことに集中していないか」が良くわかります。これもまた3分間呼吸法と同じく、思考がコントロールできないものと実感する良い練習になります。私たちはテレビを見ているつもりでも、実は全然別の心配事を考えていたりします。音楽を聴いているつもりでも、実は全然別の心配事を考えていたりします。人の話を聴いているつもりでも、実は全然別の心配事を考えていたりします。
変えられるのは今という瞬間だけなのに、今この瞬間に集中して物事を行うという時間は現代では少なくなっています。食事の際にもスマートフォンを操作しながらの人も少なくありません。これは普段目にする情報が圧倒的に増えたため、常に「もっとよい人生があるはず」「もっと楽しいことがあるはず」という思考に陥りやすくなっているからです。
何かに集中しようとしても「こんな事している場合じゃない」「なにかマズイことが起こってるぞ」「楽しいことを見逃しているぞ」「みんなはもっと幸せになってるぞ」こういった思考で常に集中力散漫になり不安は増すばかりです。ネガティブ・ポジティブに関わらず常に刺激の強いものを求め、変えることのできない過去や、まだ訪れていない未来のことばかり考えているのです。
今この瞬間に集中して物事を行えば、何をやるにしても最も豊かな結果をもたらします。辛い時は、その辛さに飲み込まれることなく目標に邁進できます。楽しい時は、ネガティブ感情に邪魔される事なく楽しめます。是非皆様の日常の瞑想トレーニングを実践して、毎日マインドフルネスを実感して頂きたいと思います。

前回紹介した3分間呼吸法は日に三回の計10分程度を目安にしていました。今回の日常の瞑想トレーニングは自分が毎日行っているルーティンワークを2つ3つ選んで、それに集中するようにしてみて下さい。例えば通勤時の徒歩、皿洗い、歯磨き、洗濯、シャワー、食事などなど様々あるでしょう。3分間呼吸法と併せて行って頂くと、日常の瞑想時間が増えて、だんだんと集中する感覚が養われてきますよ!
ちなみにですが、この日常の瞑想トレーニングをやっていくと、自分の趣味やリラックス時間がどんどん楽しくなります。映画を見るのとかもすごく楽しくなります。自分がやっていることへの没入感がすごく高まるので、心の底から楽しめる時間が増えます。
感情的になったら日常のマインドフルネスに逃げる
ひとたび感情的になってしまうと、不安はどんどん大きくなり行動するためのエネルギーはどんどん奪われてしまいます。
そんな時はただただ感情的になるのではなく、日常のマインドフルネスに逃げましょう! 部屋を掃除してもいいし、お風呂にはいってもいいし、何か楽しいことをしても良いです。ただひたすら今やっている作業に没頭しましょう。
作業に没頭している間は感情的になるのを防げます。また感情的になった時にこそ、丁寧に何かの作業に没頭することで、「自分は感情で行動のエネルギーを奪われない」という意識になってきます。
すると感情に左右されず、いつでも行動力を発揮できるようになります。
まずはインフォーマルな瞑想だけでもOK
これまでは日常の中で自分でタイミングを見つけて行うインフォーマルな瞑想を紹介してきました。次回からはまとまった時間を確保して、何分やるかと決めて行うフォーマルな瞑想をお伝えしていきます。
フォーマルな瞑想は時間を確保する必要がありますし、また習得にも最低8週間程度はかかります。忙しくて、なかなかフォーマルな瞑想に取り組む余裕がない方もいると思います。
そんな方はまずはインフォーマルな瞑想だけでもOKです。これだけでも習慣化すれば日常の過ごし方は大きく変わりますし、フォーマル瞑想に取り組むための足掛かりにもなります。最初はたくさんやる必要はありません。一日のうち一回でも二回でも良いので、とにかく毎日継続してやることが習慣化のコツです。
まずは一日三回以上の3分間呼吸法、もしくは一度の日常のマインドフルネスに取り組んでみましょう。
コレだけはやろう
一日一回の3分間、もしくは一度の日常のマインドフルネス
今回のワーク
今回のワークはこちらです。ワークに取り組むことで、このコンテンツを受講して自分がこれからするべき行動が具体化されるようになっています。具体化した行動は毎日の習慣としてください。