こんにちは!OPENERSです。

 いよいよOPENERS2.0の最大の柱である第三章の講義に入っていきます。

 ここまで嘔吐恐怖症の基本に始まり、認知行動療法や暴露療法についてお伝えしてきました。さらに潜在意識や自分にかける言葉を変える大切さのお話をしてきました。

 特に「脳はポジティブな要素を考えても、同時にそれを覆す不安要素も必ず考える」 という事実に多くの感想が寄せられました。これに関しては皆様新しい気づきがあったみたいですね!

 「今の自分の状態について、調べれば調べるほどに不安になっていた」という感想も寄せられました。人間はついつい表面的な顕在意識の部分では、「不安だ!この不安をなくすポジティブな要素を見つけないと!」となってしまい、なんとかポジティブな要素を見つけたくなります。

 しかしある要素のネガティブな面も必ず見つけるのが、人間に元来備わった機能ですから、いろいろ考えるほどに不安が大きくなってもしょうがありませんし、コントロールできることでもありません。不安を完全に無くす方法を求めて疲弊するよりも、今ある不安をそのままに大きくしない方法を学んでいくべきなのですね。

 私達は常日頃から安心を求めて生きています。しかし安心とは周りの状況や自分のメンタルの状態、つまり自分ではコントロールできないものによって左右されることが多いです。安心を求めるのは人間にとって当然ですが、それを求めすぎるのも問題です。安心は必ず手に入るとは限らないですから。

 それよりもこれからお伝えする心理技術で、不安に慣れていく、安心を求めないことに慣れていくという姿勢の方が重要です。こうした姿勢は周りの状況に左右させず貫けるものですから、この先に本当の安心が待っています。

 それでは講義です!前回の講義では、思考面と行動面をがっちり嚙合わせることが重要とお伝えしました。しかし思考面でも行動面でも、何かを変えようとする時には必ずネガティブな反応が起きるものです。そこが嘔吐恐怖症克服の最大の壁でもあります。

 もちろん「不安なことを考えるのをやめよう!」「自己批判をやめよう!」「絶対大丈夫だ!」と自分に言い聞かせれば、それで済む話なのですが・・・人間にそんなことは不可能であるという話をこれまでもしてきましたね。OPENERSではあなたがお持ちのネガティブ感情を捨てることは求めません(できません)。まずはその感情を受け入れるところからすべてが始まるのです。

 今回は「注意集中力」についてお伝えします。

 注意集中力とは何でしょうか?

 それはあらゆるネガティブから解放される為の魔法の力と言っても過言ではありません。

注意集中力とは

 ひとたび行動を起こそうとすれば、いろんな壁があります。「また気持ち悪くなったらどうしよう」「吐いたらどうしよう」という予期不安。恐怖のスイッチが入って、吐くことへのパニック。胃痛・吐き気・気持ち悪さなど様々な身体症状。そして認知行動療法が自分の思う通りに行かなかった時の「やっぱり自分は治らないんだ・・・」という行動後の落ち込み。

 これに加えて、毎日繰り返される自己批判「自分には価値が無い」「誰も自分を理解してくれない」「いつまでも病気が良くならない自分が情けない」「毎日病気のことばかり悩みイライラしている」 これら全ての根底には不安・心配・ネガティブなセルフイメージといったネガティブ感情があります。

 嘔吐恐怖症はただ前向きな気持ちで認知行動療法さえ続けていれば必ず治ります。しかしガムシャラに気合で頑張っても必ず潜在意識が猛反発して、上記のような怒涛のネガティブ感情によって阻まれてしまいます。

 私達は常に前向きであることを望んでいるはずです。どうしていけないと分かっていても、不安につかまり続けたり、自己批判をしたり、ネガティブ感情に染まってしまうのでしょうか?「どうしていつも自分はネガティブなんだろう・・・」と考えたことはありませんか?

 これはここまでお伝えしてきた通り、人間はもともとネガティブだからというのもあります。でももっと詳しい表現でいえば・・・

集中力が無いからなのですね!

 集中力というよりかは、「注意集中力」という言葉の方が正しいです。注意集中力と言うのは以下の2つの力です。

  • 自分が今何を考えているのかを客観視する力
  • 自分が向けたい対象に注意を向ける力
  • 注意を向けている対象と関係ない感情には流されない力

 不安が起きたり自分を批判している時、私たちはついつい無意識になっています。これはネガティブ感情に限らず、楽しいことでもそうです。私たちは普段目の前の出来事を知覚・認識して行動をしていると思いがちですが、実はそうではありません。実は日常のほとんどの時間は目の前の出来事は無視して、関係のない過去や未来のことについて考えているのです。 

 これはネガティブ感情と同じく、私たちの生存率を高めるための機能なのですね。例えば歩くという行為がものすごく複雑で、脳のほとんどの領域を働かせないとできない行為だったとしましょう。歩いている間は脳が忙しくて、他のことを考える暇がありません。

 私達は生きていると、歩いたり、しゃべったり、お皿を洗ったりと何かしらの雑務をこなさないといけません。ですから雑務に脳の領域が全部使われてしまうと、他のことを考えていく時間が無くなってしまうわけです。これでは生物は進歩しませんよね?

 ですから普段からやっている雑務はいつの間にか、何も考えなくても、無意識に作業がこなせるように脳が発達していくのです。つまり何かに没頭している、集中して作業している時以外は私たちは現実にいないということができます。隙あらば現実を離れ、過去や未来や自分のことに考えを巡らせます。

 もちろんこの能力のおかげで人間が進歩してきたわけですから、ネガティブ感情と同じで絶対に必要ではあります。しかし、ここでの考え事が不安・心配だけになるとどうなるでしょうか?それに囚われ続けるとどうなるでしょうか?

 日常の中で何かに没頭している、集中して作業している時間はごくわずかです。つまり日常のほとんどの時間でネガティブ感情を持つ状態になってしまいます。先に述べたように、不安になる時間はできるだけ少なくするのが重要です。

 これでは克服に向けてのエネルギーがどんどん奪われていきますよね。自己批判も同じです。現実から意識が離れ、不安に駆られると、いつの間にかそんな自分を責め立てて解決を図ろうとするものです。人間はとにかく物事の原因をハッキリさせたい性質があります。自分が不安になっているのも原因が分からないよりは、自分が弱いから!と決めつけた方が一時的な安心が得られるので、ついつい自己批判に走ってしまうのです。

 私たちは不安や自己批判に陥っている時には、その状態に気づいていないのです。これまた当然のことです。せっかく雑務は無意識にこなせて、他のことを考える余裕を脳につくったのに、「あ、今考えていることは目の前の現実とは関係ないな」と簡単に切り捨てられては困りますからね。そのため私たちは現実を離れて考え事をするときはついつい無意識になるのです。不安や自己批判に陥っている時には、その状態に気づくことが出来ないのです!

注意集中力が無いと感情が暴走する

 私達がネガティブ感情に囚われていること、注意集中力を発揮できていないこと、これらは意識して自覚しなければ全く気づくことができません。ただ感情の赴くままに、不安も自己批判もネガティブ感情はどんどん大きくなっていきます。

 かつての私の会食に臨む時の心理状態を描写してみました。目の前の食事を楽しむという余裕は一切なく、ただ感情が暴走しています。

「久しぶりの会食だ。緊張するな」
「前回うまくいったから、今回もうまくいくと良いな」
「あれ?でもなんかちょっと気持ち悪い感じがする」
「せっかく前回良かったのに、またダメになるの?」
「やっぱり気持ち悪い。なんかちょっと吐き気もする」
「食べ始めて一口も食べられなかったらどうしよう」
「みんな自分のこと嫌わないかな」
「いつまでも治らないのかな」
「治らなかったら就職とかどうしようかな」
「就ける仕事が限られるのかな」
「将来不安だな」
「人生大丈夫かな」
「うわ~~~~やばいやばいやばいやばい!」

 上記をはじめ「また気持ち悪くなったらどうしよう」「吐いたらどうしよう」という予期不安。恐怖のスイッチが入って、吐くことへのパニック。胃痛・吐き気・気持ち悪さなど様々な身体症状。そして認知行動療法が自分の思う通りに行かなかった時の「やっぱり自分は治らないんだ・・・」という行動後の落ち込み。

 これらを引き起こすネガティブ感情の影響をもろに受けてしまう理由はたったひとつです。

 「注意集中力」が発揮されておらず、感情が暴走してしまっているからなのです。

 どのような嘔吐恐怖症の症状であっても、症状が強くなってしまうのは不安や感情が暴走してしまうからです。つまり注意集中力は嘔吐恐怖症の症状を食い止める際に重要な能力なのです。

注意集中力でネガティブ感情に気づく

 不安に囚われ続けたり、自己批判をやめられない原因はここにあります。今自分が不安になっている、自己批判をしているという事実をいち早く冷静に客観視しなければ、感情が暴走してそれを止めることも難しくなります。そこで役立つのが注意集中力なのです。注意集中力とは

  • 自分が今何を考えているのかを客観視する力
  • 自分が向けたい対象に注意を向ける力
  • 注意を向けている対象と関係ない感情には流されない力

 という力でしたね。この力を訓練すれば、自分を客観視する力、ネガティブ感情を断ち切る能力が大幅に高まります。では注意集中力がない時と、ある時の様々なシチュエーションを見ていきましょう。

注意集中力がない場合

 「明日の会食不安だな・・・」「気持ち悪くなったらどうしようかな・・・」「この病気はいつになったら治るのかな・・・」「治らなかったら将来どうなるのかな・・・」

 「今日の会食は全然食べてないのに気持ち悪い」「全然たべられなかったら・・・吐いてしまったら・・・」「やばい、どうしようどうしよう」

 「電車の中なのに気持ち悪い」「ここで吐いたら・・・」「やばい、どうしようどうしよう」

 「今日も食欲が無いな、食べたくないな」「どうして自分はいつもこうなんだ」「自分が何をしたっていうんだ」「食事がストレスだ」「もういやだいやだ」

 不安が不安を、ストレスがストレスを生んでいる状態です。こうなると抜け出すのは大変ですし、様々な嘔吐恐怖症の症状が悪化してしまいます。

注意集中力がある場合

 「明日の会食不安だな・・・」「あ、今自分は不安を感じているんだな。でも不安は止められないし、生きるための機能だからしょうがないな。不安のままにしておこう」「不安はこのままでいいから、別の作業に集中しようかな」

 「今日の会食は全然食べてないのに気持ち悪い」「あ、今自分は不安と気持ち悪さを感じているんだな。別に会食練習にはなるし、全部食べなくてもいいよね。気持ち悪さが治まるまで会話を楽しもうかな」

 「電車の中なのに気持ち悪い」あ、今自分は不安と気持ち悪さを感じているんだな。電車の中で気持ち悪くなるのは別によくあることだから、外の景色を見て気持ちを別の方向に向ける練習をしようかな」

 「今日も食欲が無いな、食べたくないな」「あ、今自分は食べたくないと感じているんだな。別に一度に食べきる必要はないから小分けにして食べようかな」

 早い段階から自分が不安を感じていることを客観視しています。不安になっても単に「今自分が不安を感じている」という以上には拡大解釈していないので、不安が大きくなっていませんよね?さらにその後すぐに自分が今できることに集中しようとしていますよね?

 この不安から現実への切り替えが、注意集中力の力なのです。不安や自己批判をさておいて、それに囚われ続けることなく、目の前のことに集中できる切り替え力なのです。注意訓練法とはいち早く自分が不安や自己批判に囚われていることに気づき、そこから切り替えて現実に戻る力なのです。

 これはあらゆるネガティブ感情に対して効果的です。予期不安であっても、吐くことへのパニック症状であっても、落ち込みや後悔であっても、自己批判であっても、注意集中力は常に私達を現実に引き戻し、ネガティブ感情に囚われ続けることを防いでくれます。

 これは嘔吐恐怖症を克服の為に必ず身に着けるべき力です。毎日を楽しく過ごして潜在意識を良く変えていくのにも、そしていざという時に症状が出るのを防いでくれるのも注意集中力です!そしてこの注意集中力は自分の努力で、どんどん高めていくことも可能なのです!

 不安や自己批判は日常いつでもやってきますので、日常の中で訓練をする機会はたくさんあります。本腰を入れて取り組めば、比較的短時間でこの注意集中力を養うことができます。

 「じゃあ注意集中力を養うには自分が不安や自己批判に囚われていないかに常に気を付けて、常にポジティブでいればいいのか!」というとそうではありません。こうやって意思だけの力、顕在意識だけの力のメンタルコントロールで何とかしようとしても注意集中力は養われないのです。

 じゃあどうやって訓練するの?それがズバリOPENERSの最大の柱の技術である「瞑想」なのです。次回から詳しく説明していきますね!

 コレだけはやろう

 自分がネガティブ感情に囚われてることに気づく練習をしてみましょう。「あ、今ネガティブなことを考えて目の前のことに集中できてなかったな」と気づいてみましょう。今は気づくだけでOKです!

今回のワーク

 今回のワークはこちらです。ワークに取り組むことで、このコンテンツを受講して自分がこれからするべき行動が具体化されるようになっています。具体化した行動は毎日の習慣としてください。