こんにちは!OPENERSです。

 前回は自分がネガティブ感情に陥っていることに気づき、そこから脱するために注意集中力が必要であり、注意集中力を鍛えるのが瞑想であるというお話をしました。今回はいよいよ瞑想について詳細にお伝えしたいと思います。

 告知の通り、本プログラムOPENRESではこの瞑想に非常に力を入れております。あなたもOPENERSの受講が終了する頃には、日常の中に瞑想習慣が取り入れられていることと思います。

 結論から申しますと、瞑想はこの複雑な現代社会において非常に大事な習慣であると言えます。嘔吐恐怖症であってもそうでなくても、メリットがありすぎる習慣であると言えます。よく健康の三大要素として「食事」「睡眠」「運動」がありますが、瞑想はここに加えて四大要素にしたいくらいです。最後までお読みいただくと、あなたにも「瞑想やってみたい!」と思って頂けることと思います。

 さて瞑想と言えばどんなイメージがありますか?あなたのイメージでは修行僧が煩悩を消すために、ひたすら頭の中を空っぽにする訓練・・・のようなイメージがあるかもしれません。このイメージよりは「今ここで起きていることに全集中する訓練」と言った方が正しいでしょう。まずは瞑想のルーツから説明していきます。

 昔の人達も今の私たちと同じように、様々な悩みを抱えていました。ネガティブな過去や未来や自分が常に不安で、感情に振り回されて生きていました。しかし私達が変えることが出来る、力を振るうことができるのは「今この瞬間」しかありませんよね?今この瞬間で起きていることに集中し、そこで頑張るのが最も充実した人生ですよね?

 ネガティブな過去や未来や自分について悩んでも、何かが変わるわけではありません。こういう時間はできるだけ少なくした方が良いですよね?昔の人達もこの「今この瞬間に集中する」つまり注意集中力をもって生きると不安が少なく、充実した人生を送れることに早くから気づいていたのです。

 「今この瞬間に集中する」状態はマインドフルネスとも呼ばれます。よく、瞑想・マインドフルネス・マインドフルネス瞑想といった言葉が混在することもありますが、正しくは瞑想はマインドフルネスな時間を増やすための訓練ということです。

 ですから昔の人達は「今この瞬間に集中する技術」というのを訓練して、それを仏教の教えとして受け継いできたのです。まだスピリチュアルな感じがして本当に役に立つの?という感じがしますが、現代では瞑想の研究・実践も進みまして、今この瞬間に集中する心理技術として科学的に確立されています。

 瞑想は悟りを開くための修行でもスピリチュアルでもありません。既に様々な精神疾患に効果がある最新の心理療法です。

慢性痛に効果を発揮

 もともと科学的な瞑想研究は、慢性痛を抱えた人達への治療法として始まりました。慢性痛とは現代医学でも根本的に治療するのは難しい痛みのことです。慢性痛の方は常に体の一部に痛みを抱えており、それを緩和する方法がありませんでした。痛みというストレスを常に抱えるわけですから、感情もネガティブになり、よりストレスが増します。こんな状態が続くと常に不安になっても仕方ありません。

 あなたもこの痛みを嘔吐恐怖症に置き換えてみると、同じような経験をされてきたのではないでしょうか?嘔吐恐怖症にストレスを感じて抵抗しても、よりストレスが増すだけですよね?心理学の世界では以下の公式になぞらえて、この状態を説明しています。

 苦痛=痛みx抵抗

 私達はより苦痛の少ない人生を送りたいわけですが、慢性痛を抱えている方はこの痛みについつい抵抗してしまいます。

「痛い!苦しい!」「こんな自分はもう嫌だ!」「人生おしまいだ!」

 そこにある痛みだけでなく、それに抵抗することで生まれる様々なネガティブ感情がより苦痛を増大させているのです。これは嘔吐恐怖症でも同じです、病気という痛みに対して普通は全力で抵抗してしまい、さらには自分の人生を否定するまでに及んでしまいます。

「嘔吐恐怖症が治らなかったらどうしよう」「将来不安だ」「どうして自分だけこんな病気に」

 こうしたネガティブ感情は起きて当然ですが、敢えて客観的に、そしてすごくドライな表現で申し上げますと自分の主観で作り上げた今起きている訳でもない最悪の事態に根差した行き過ぎた感情です。もちろん今すぐには納得できないでしょう。私の不安や感情は現実に即している!と思う方もいると思います。でも大丈夫です。こう思える瞬間がいつか来ますから!

 今この瞬間に集中して自分を良くする行動が出来ずに、起きてもいないことに対するネガティブ感情に振り回されて苦痛が増しているのです。こういう時間が長いほどに嘔吐恐怖症も悪化していきます。私の場合はこの瞑想と出会うまで、実に10年間近くもネガティブ感情に対する対抗をし続けていました。

 一般的には上記の公式が広く認知されています。しかしこの式にはさらにもう一段抵抗があります。

 苦痛=痛みx抵抗x抵抗することへの抵抗

 抵抗することへの抵抗とは、病気による苦痛や痛みに対して、自分がネガティブ感情を抱くこと自体にネガティブ感情を持つことです。

 つまり「どうしていつも嘔吐恐怖症への不安ばかりなんだ!」「いつもネガティブで前向きに行動できない自分が情けない」といった二次感情もあるわけです。このように嘔吐恐怖症や、それによるネガティブ感情に対しての抵抗は解決を生むばかりか、ネガティブをどこまでも増幅させています。

 話を慢性痛に戻します。そこで瞑想を行うことで「痛みがある」という現実を受け入れ、今この瞬間に集中し、ネガティブ感情を低減しようという試みがなされたのです。この瞑想治療は慢性痛の方々に効果を発揮し、足に慢性痛を抱えて満足に歩けなかった人が歩けるまでに回復したのです。

 これまでは「痛いから絶対動きたくない!」というネガティブ感情に支配されていたのが、痛みがある現実を受け入れて、今この瞬間に集中することで、ネガティブ感情が低減した結果「痛くても歩けるな」と行動できるようになったのです。

 さらにその後「瞑想によって、うつ病の再発率を大きく減らせる」などの研究も報告され、瞑想研究の熱が一気に高まりました。現在では「日常的な集中力の向上」「不安低減」「感情コントロールの上達」「扁桃体(脳で恐怖や不安を司る部位)の活動抑制」など様々な心理的にポジティブな効果が得られることが分かっています。

瞑想は嘔吐恐怖症にも効果的

 既に米国では有名な瞑想プログラムも登場し、慢性的なネガティブ感情や痛みを抱えた人達に対して効果を上げています。瞑想は単にスピリチュアルな仏教の教えでは無く、科学的な治療法として確立されているのです。そしてどなたでも簡単に瞑想が始められる環境が整ってきています。

 以前に嘔吐恐怖症は社交不安症の側面もあるパニック障害に近いというお話をしました。症状の出方は違いますが、不安が不安を呼んで、症状が強くなるという原因は同じであるという見方が出来ます。瞑想は既にパニック障害にも効果があることが分かっていますので、嘔吐恐怖症に対してもポジティブな効果が期待できます。

 嘔吐恐怖症という現実を受け入れ、今この瞬間に集中し、ネガティブ感情を低減することで改善が進んでいきます。

 さらに瞑想は長期的な効果だけではなく、「吐きそうになってパニックになる」といった具体的な症状にもダイレクトに効果があります。今後お伝えしていく嘔吐恐怖症の症状を緩和する方法も全て、この瞑想によるマインドフルネスという状態の延長線上にあります。

 嘔吐恐怖症を克服していく為に必要な心の土台は全て、この瞑想ひとつで養われていくのです。

不安に振り回されなくなる

 では瞑想を始めると、どのような感覚になるのか?私の体験を交えて説明していきたいと思います。瞑想を始める以前の私は、先に説明したような、まさに嘔吐恐怖症の典型的な以下の状態にはまっていました。

  • 常に病気のことが不安
  • 病気の自分を責める

 ですが当時は自分でも、この状態が当たり前だと思っていたのです。嘔吐恐怖症の不安を減らすには、自信をもって人と会食に行けないとダメだと思っていましたし、そんな理想とはかけ離れた現状の自分を、考えうる限り最も辛辣な言葉を使って批判し続けていました。

 とにかく自分を追い込んで、なんとか会食に行かせないとダメになってしまうと思い込んでいました。しかしこのやり方こそ最もダメなやり方ですね・・・。

 私自身何年も瞑想の鍛錬を積んできたわけではありません。ですが一日の間に必ず瞑想の時間を作り、それを続けてみました。すると以下のような変化が徐々に現れました。

 ネガティブ感情に抵抗し続けていた10年間では一度も経験しなかったような感覚が得られました。

  • 不安や自己批判が来ても、受け流せるようになった
  • 感情の波が少なくなった
  • 自分や他人にイライラしなくなった
  • 過去や未来についてほとんど考えなくなった
  • 仕事や食事や趣味を集中してより楽しめるようになった

 もちろん不安なことや自己批判やイライラがなくなる訳ではありませんし、瞑想をずっと続けてもそれが完全になくなる訳では無いでしょう。しかし依然と違うのはそういうネガティブ感情をすんなりと受け入れられるようになったことです。

 もう少し細かく体感を述べるなら、「不安が来ても、半分他人事のように感じる。あまりシリアスに感じられない。しょうがないものと受け入れられる。」といった感じです。様々なネガティブ感情に対して、このような扱いが「自然と」出来るようになったのです。

 これまで自分の生んでいたネガティブ感情にいちいち反応し、どうしてこんな感情になるのか!と自分を攻撃するばかりでした。ネガティブ感情が生まれるのは自分の意思とは関係なく、コントロールが及ばないもの、そしてそのままにしておくのが一番良いということが本当に深いレベルで納得できています。

 ネガティブ感情によってさらなるネガティブ感情が生まれることも少なくなりましたし、ネガティブ感情がある時でもより行動的になりました。瞑想のおかげでこのOPENERSも皆様にお届けすることが出来ているといったも過言ではありません。

 ちなみに他人に対してもより寛容になりました。以前は他人の発言がいちいち気になっていましたが、今では「人間だから言葉を間違うこともある、一言多いこともある」で済ませられるようになりました。

 ここまでの講義で「瞑想やってみたい」という気持ちが湧いてきましたでしょうか?

今回のワーク

 今回のワークはこちらです。ワークに取り組むことで、このコンテンツを受講して自分がこれからするべき行動が具体化されるようになっています。具体化した行動は毎日の習慣としてください。