OPENERS2.0スタートします

 さて、いよいよ嘔吐恐怖症克服プログラムOPENERS2.0の講義に入っていきます。これから約4か月以上にわたり、あなたが嘔吐恐怖症を克服するための、そして人生を変えていくための情報をお伝えしていきます。

 あくまで講義はテキスト・音声・動画のインプットベースで行いますが、知識はインプットしてからすぐにアウトプットすることで、より身に着きます。あなたが効率よくアウトプットできるようワークもたくさん用意しています。

 ワークは講義ページの最後からダウンロードできます。講義を読んでワークに取り組むまでが受講とお考え下さい。

OPENERSのマインドセット

 OPENERSは嘔吐恐怖症の克服プログラムです。克服プログラムというからには、克服に必要な情報をもちろんお伝えしていきます。ですが約4か月以上という時間をかけるわけですから、あなたが納得する形で届けていきたいと思っています。忙しい病院の先生のように、「ああしてください」「こうしてください」と矢継ぎ早に指示するようなプログラムではありません。

 またいきなり「ポジティブに考えてください」「あなたには価値があります」「自分に自信をもって下さい」などいきなり考えを変えて下さいとアドバイスするプログラムでもありません。あなたの意識をゆっくりでも確実に良い方向に変えていくヒントをお伝えしていくので、ゆっくり消化していって下さいね!

 さて今回は、このOPENERSのマインドセットをシェアしていきたいと思います。

 マインドセットとは何かを始める前に前提となる、基本の心構えのことです。最初にマインドセットを持っておくことで、講義に納得し、また学習へのモチベーションを高めることが出来ます。

 OPENERSでは「人間はネガティブ感情を気合や根性といった意思の力でコントロールできない」という超重要な心理学的事実に基づいて設計しています。これは私のカウンセラーとしての活動信条でもあり、心理学の常識でもあります。人間は沸き起こる不安・心配などのネガティブ感情を止めることはできません。

 このOPENERSは、ほとんどこの超重要な事実に納得して頂くためのプログラムと言っても過言ではありません。

 特に嘔吐恐怖症に関しては日常の様々な場面で影響するものですから、そのネガティブ感情はかなり大きくなります。将来への慢性不安や会食前の予期不安、劣等感やコンプレックス、自己批判とった様々なネガティブ感情といかに付き合っていくかが重要です。

 この事実を理解していないと、様々な取り組みを行っても「不安がやっぱり消えない」「自分が弱いから不安なんだ」「いつまでも自信が持てない」という完全に間違った解釈に進んでしまい、克服が難しくなります。

 OPENERSではネガティブ感情に対する重要なマインドセットがあります。こちらのマインドセットでネガティブ感情に対するイメージを変えていきましょう。

マインドセット1 ネガティブで当たり前

 あなたは普段ネガティブ感情をどのようなものと捉えていますか?嘔吐恐怖症の人は実に様々なネガティブ感情を抱えています。

 会食や電車での「気持ち悪くなったらどうしよう、吐いたらどうしよう」という不安。日々の食事を満足にとれないことへのストレス。いつ遭遇するか分からない、嘔吐にまつわるものに対する恐怖心。

 さらにそれに付随して、「どうしていつも不安なんだろう」「どうして自分はいつもダメなんだ」という自己批判もあります。これらもネガティブ感情です。

 そしてご経験があると思いますが、こうしたネガティブ感情に囚われ続けると、不安が大きくなったり、嘔吐恐怖症の症状が悪化したりします。そのため、ほとんどの人は「ネガティブ感情をきれいさっぱり消し去りたい!」と考えているでしょう。では本当にネガティブ感情は悪いものなのでしょうか?

 結論から言えばネガティブ感情自体は決して悪いものではありません。そしてそれをきれいさっぱり消し去る方法もありません。

 OPENERSでも決して「ネガティブ感情を持たないようにして下さい!」「もっとポジティブに考えるようにして下さい!」とは言いません。そんなことは今すぐには絶対にできませんから。

 ここまででネガティブ感情をきれいさっぱり消し去る方法を期待していた方は、少しがっかりされたかもしれません。でも大丈夫です。ネガティブ感情が消えなくても問題ない理由をこれからお伝えしていきますし、私達の豊かな人生には絶対にネガティブ感情が欠かせないんです!

 ではどうしてネガティブ感情は消せないのでしょうか?

 それはネガティブ感情は人間が生き残るために必要なものとして、進化の過程でどんどん発達させてきたものだからです。今でこそ私たちは安全に衣食住を確保して生きていますが、昔の人間は常に過酷な状況に置かれていました。野生生物や自然災害に襲われて命を落とすことも多い環境だったのです。そんな時にネガティブ感情は生存に非常に役立ちました。

 「あの黒い影はなんだろう?ひょっとして熊じゃないか・・・?近づくと食べられる!」「この先食料が手に入らないかもしれない、今のうちになんとかしなければ・・・!」って感じで常に命の心配をして先に備えることが生存に必要だったのです。このネガティブ感情のおかげで人間は今日まで生きてこれたわけです。

 そしてネガティブ感情に駆り立てられて、いろいろ頑張ってなんとか命の安全を確保することで幸せが得られるのです。幸せの前には必ずネガティブ感情があります。

 ネガティブ感情自体は人間の生存に役立つものでした。現代は常に命の心配をしなくても生きれるようになりました。しかし時代は変わっても人間が備えているネガティブ感情自体は変わっていません。命の心配をするかわりに、自分の理想とする人生の障害になりそうなものは全て心配するようになりました。

 例えば「明日のテスト・面接うまくいくかな・・・」「あの人に嫌われてないかな・・・」などなど。嘔吐恐怖症は就職・恋愛・人間関係の障害になる、それによって理想の人生が遠のいていく・・・と考えてしまいどうしても不安になりますよね。すると本能的に嘔吐恐怖症に対してはどんどんネガティブ感情を持ちます。これは極めて自然な人間の感情と言えましょう。

 ネガティブ感情は人間の生存には絶対必要なので消すことはできないのです。ネガティブ感情があると落ち着かないからと言って、私達の意思で勝手に、「よ~し、もうネガティブなこと考えないぞ~」と消されてしまっては、あらゆる命の危機を回避できません。

 しかしネガティブ感情があるとやはり落ち着かないため、「ネガティブ感情は悪いもの!消さないといけない!」と思われています。

 私達は本来ネガティブなのが当たり前の状態なのです。これがOPENERSの一つ目のマインドセットです。

マインドセット2 幸福は当たり前じゃない

 ネガティブ感情を悪いものとみなす原因は、単にそれが落ち着かないという理由だけではありません。現代ではあらゆる幸福を追求した結果「幸福が普通の状態であり、ネガティブ感情を抱くのは異常だ!」とみなす風潮があります。

 社会の情報化が近年急速に進んだため、ありとあらゆる情報が簡単に手に入るようになったためです。テレビ・インターネット・SNSなどで扱われるのは、様々な人達の表面的な幸福の側面だけであり、その人たちが抱いているネガティブ感情にフォーカスされることはありません。そういう情報に触れ続けていると、「こんなネガティブなのは自分だけ」「幸せになれないのは自分だけ」という状態に陥るのも仕方がありません。

 では実際にネガティブ感情を抱く人は本当に少ないのでしょうか?幸福な状態が普通なのでしょうか?

 実際の統計を参照してみましょう。米国の統計ですが

  • 毎年成人人口の30%近くが何らかの精神疾患と診断されている
  • 世界保健機構は2020年にはうつは2番目に重大な疾病になると予想している
  • 5人に1人が障害で一度はうつになる
  • さらに4人に1人はドラッグ・アルコール依存になる。米国だけで2000万人のアルコール依存症患者が存在する
  • 2人に1人が人生のある時期、真剣に自殺を考え、2週間以上その状態に悩まされる

 なんとなく陽気なイメージのある米国の方も、このようにネガティブ感情に悩まされます。

 発展した科学技術によって、私達はひらすら幸福を追求しているはずなのに、その実情は全く幸福からは遠いものです。ですがこれは自然なことです。幸福を追求するほどにネガティブ感情に対する抵抗も生まれるからです。ネガティブ感情を抱くことは極めて自然なことにも関わらず「こんなネガティブなのは自分だけだ!」「もっと幸福にならないといけない!」とひたすら抵抗してしまいます。こうした感情はよりネガティブ感情を増幅させるので、結果的にうつ病や依存症に陥ってしまうわけです。

 ネガティブ感情に抵抗することは、勝ち目の無い終わりなき戦いの中で自分をどんどん疲弊させるようなものです。こうした事実を置き去りにして、「ネガティブ感情は悪いもの!消さないといけない!」と思われています。

 この傾向は近年のコロナ禍でより顕著になったように思われます。

 コロナ禍において、メンタルに不調をきたす人が多くなり心療内科や精神科の予約も取りにくい状況が続いています。このような状況でしばしば不安や心配があることが問題視されますが、ネガティブ感情があること自体は全く問題ではありません。人類未経験の危機にあって、ネガティブ感情が出てこないなど、人間の生存機能が正常に働く限りあり得ないのです。

 誰もがネガティブ感情と不安を抱えて生きている。幸福は当たり前じゃありません。これが二つ目のマインドセットです。

 余談ですが、私の友人の一人に、とにかく明るい性格の持ち主がいます。

 いつもニコニコ笑っているので、「あんなポジティブになれたらな~」といつも思っていました。そこでどうしてそんなに明るくいられるのか聞いてみました。すると思わぬ答えが返ってきたのです。

 「親が癌で苦しみながら死んでいくのをずっと見てきたから、もう生きているだけで幸せに思うようになっちゃった」

 明るく陽気な人は、ネガティブ感情を持つことはない、ずっと幸せなはずだ!なんて私達は勝手に思っちゃいますが決してそんなことはありません。人は必ずその人それぞれの苦しみを持って生きています。

 人生は私達の意思や努力と関係なく、嘔吐恐怖症になってしまったり大切な人と別れたり様々な悲劇も降りかかります。どうしてもネガティブ感情と向き合わなければいけない時が来ます。幸福は当たり前ではないのです。

マインドセット3 ネガティブとポジティブの調和を目指す

 ここまでのマインドセットを聞いて、「ネガティブ感情を無くすことができない?人生に悲劇はつきもの?じゃあもう絶対幸せになれないじゃないか!」と思われた方もいるでしょう。ですがネガティブ感情をなくすことが幸せになる方法ではありません。

 幸せになるために私達に必要なのはネガティブ感情を消すことではなく、ネガティブ感情と上手く付き合っていくことなのです。これが三つ目のマインドセットです。

 ネガティブ感情自体は悪いものでもなく、それを消し去ることもできません。ではなぜネガティブ感情が問題となるのでしょうか?それは

  • ネガティブ感情が絶対に正しいと信じ込んでしまう
  • ネガティブ感情を必要以上に大きくしてしまう
  • ネガティブ感情を持つのは自分だけと思い込む

 人間はあらゆる危機に備えられるよう基本的に大げさに考えるようになっています。ネガティブ感情で想像される悪い事態が実際に起きることはそう多くありません。しかしそのネガティブ感情が「正しい!必ず起こる!」と信じ続けてしまうと、前向きな行動を起こすのが難しくなってしまいます。

 人間の想像力には際限がありません。ある悪い事態を想像して止まるわけでなく、さらに「もっともっと悪い事態も起こるのではないか?」と考えてしまいます。すると不安がどんどん大きくなり嘔吐恐怖症の悪化につながったりします。つまりネガティブ感情自体は悪いものではありませんが、それを絶対正しいと信じ続けたり、もっと悪い事態を想像し続けると問題になるわけです。

 さらに人生には悲劇がつきものです。あなたがどんなに頑張っても努力しても必ず避けられない悲劇が降りかかる時があり、どうしてもネガティブ感情と向き合わなければいけない時が来ます。

 私達に必要なのはネガティブ感情を消すことでも幸福(ポジティブ感情)を追求することでもありません。ネガティブ感情とポジティブ感情を共存させることなのです。人間に原始から備わっている全ての感情をうまく調和させることなのです。OPENERSではこの方法を学びます。

 OPENERSではネガティブ感情を抑制することはしません(できません)。そのようなネガティブ感情を生み出す自分を認め、現実に集中し、やるべきことが継続的にできるマインドの養成を目的としています。こうしたネガティブ感情もポジティブ感情も両方受け入れる姿勢を心理学用語では「ホールネス」と言います。

 英語で書くとWHOLENESSで、「全体」という意味があります。感情の全ての側面を受け入れて上手に生きようとする姿勢を表した言葉ですね。

 OPENERSではこのホールネスなマインド養成を目指しています。ネガティブ感情を抑制する必要も、ポジティブ感情になる必要も、いきなり考え方を変える必要もありません。こうした感情全てが渦巻くなかで、全て受け入れて、常にやるべきことが見えている状態を目指していきます。

 だからこのOPENERSのロゴにもWHOLENESSと書かれてたわけですね。まさに「ありたき未来」を記していたわけです。

 とはいえ、ここまでお読み頂いてもまだ「ネガティブ感情を消したい!」「結局消えないネガティブ感情にずっと耐えないといけないの?」と思ってしまいますよね?

 でも大丈夫です。あなたのホールネスが育っていくると、心は以下のようにどんどん発達していきます。

  • ネガティブ感情があることに自分で気づけるようになる
  • ネガティブ感情を自分で大きくしない
  • ネガティブ感情を受け入れられる
  • いつでもネガティブ感情を受け入れられるので、安心感が生まれる

 あなたはネガティブ感情消したいと思うことも無くなれば、耐えている我慢するという感覚も無く、自然と受け入れられるようになります。そしてこのような状態になれば、ネガティブ感情に囚われることなく、自分のやりたいことにどんどん挑戦していく姿勢も身に着きます。

 ホールネスはネガティブ感情から身を守る為だけの姿勢ではありません。自ら積極的に人生を豊かにしていく為の攻めの姿勢なのです。

 嘔吐恐怖症であることは、そのままにしてしまうと単なる悲劇で終わってしまうかもしれません。ですがこのホールネスという素晴らしい姿勢を身に着けるための最良のきっかけ、最良の教師でもあります。どんどん自分の心を成長させてくれます。

 そしてこれから起こる悲劇を全て、自分の心を成長させる機会へと変えてくれるのです!

 あなたも是非このホールネス!な状態目指していきましょう。

マインドセットまとめ

 以下がOPENERSのマインドセットです。

  • 私達は本来ネガティブなのが当たり前の状態
  • 誰もがネガティブ感情と不安を抱えて生きている。幸福は当たり前ではない
  • 必要なのはネガティブ感情を消すことではなく、ネガティブ感情と上手く付き合っていくこと、目指せホールネス!

 恐らくこれから講義を受けたり、様々な行動に取り組まれる中で、いろんなネガティブ感情が出てくることでしょう。ついつい「ネガティブになってしまった・・・」と落ち込むこともあります。

 そんな時は、このマインドセットを思い出しましょう。実際にネガティブ感情に襲われた時に、心の中で唱えたり、つぶやいたりすることも効果的です。今後のOPENERSもこのマインドセットを軸に講義を進めていきます。繰り返し思い出して、しっかりと心に留めておきましょう。

 当たり前ですが、マインドセットというのはそれを知ったからといって、すぐに納得できる訳ではありません。人間そんな簡単に考えが変われば苦労はしません。最初のうちは「やっぱりネガティブ感情を消したい!」と何度も思うはずです。ですが、マインドセットを何度も思い出すたびに、やがて意識の中にどんどん浸透していきます。そのうちにマインドセットに納得できるようになりますので、続けることが重要です。

 コレだけはやろう

ネガティブ感情に襲われた時は、3つのマインドセットのどれかを思い出そう!

今回のワーク

 今回のワークはこちらです。ワークに取り組むことで、このコンテンツを受講して自分がこれからするべき行動が具体化されるようになっています。具体化した行動は毎日の習慣としてください。

 ワークは1枚の時と、複数枚の時があります。ご注意下さい!